ラフ・コーヒー(略して「ラフ」)は、2000年代後半に登場した、ロシアと旧ソ連諸国で人気のあるコーヒー飲料。1杯のエスプレッソに、クリームを蒸気で加熱することでできた、少量の泡(0.5センチ)を加えることで作られる。ラテとの主な違いは、牛乳の代わりにバニラシュガーとクリームを用いることである。多くの場合、シロップを加えて供される。
淹れ方
まず、さまざまなコーヒーシロップを容器に注ぎ、次に35 mlのエスプレッソを注ぐ。次に、バニラシュガーとともに脂肪分15%以下の温めたクリームを加え、クリーマーですべての材料を65度になるまで加熱する。多くの場合、ラフを淹れるときに粉末のシナモンが振りかけられる [1]。特殊な材料を加えた様々なバリエーションが存在する。アルコール、砂糖の代わりに蜂蜜、ラベンダーなどである。
歴史
伝説によると、1996年から1997年にモスクワのカフェ「コーヒービーン( Coffee Bean )」での実験の結果、ラフコーヒーが誕生した[2]。ラファエルという名前のカフェの客は、普通のコーヒーを拒否し、バリスタによる実験の結果、牛乳を含む通常のコーヒーより、柔らかく甘い味のコーヒーが生まれた。後に、この飲み物を気に入った客たちは「ラフのようなコーヒー」を頼むようになり、そして徐々に名前は「ラフ・コーヒー」あるいは単に「ラフ」と短くなった。徐々に、バリスタが他のカフェに移動するにつれて、この飲み物はそこで提供されるようになり、ロシア中のカフェで人気を集めた。モスクワ[3][4]とロシアでは非常に人気のある飲み物だと見なされている。2018年までに、ラフコーヒーはロシアを越えて広がり、ウクライナ [5]、ベラルーシ、カザフスタン [6]のカフェでもラフコーヒーは提供されている。ラフコーヒーはCIS諸国以外ではほとんど知られていない (外国のカフェでのラフコーヒー(rough coffee)は普通の粗挽きコーヒーと呼ばれ、特定特殊な苦味が一部のコーヒー好きから評価されている[7] )が、一部のデータによれば、一部のチェコのカフェ[8]やインドネシア[9] でさえ作られている。
ロシアのコーヒーの専門家の中には、クリームとバニラシュガーの味がエスプレッソの香りを消すとラフコーヒーを批判する者もいるが、このコーヒーがロシア発の新たなコーヒーの数少ないうちの1つであることを認めている[2]。これ以外に、かなり甘い飲み物が人気という事実は、ロシアのコーヒー文化の際立った特徴として示されている[10]。
注釈
参考文献
- Кофе: рецепты, коктейли, советы, мастер-классы. М.: Ресторанные ведомости. Сост. Денисов Д. И., Цыро С. В. 2014. p. 98.
- Кофе. 100 правил, историй, рецептов. М.: Эксмо. Сост. Юрышева Я.. 2018. pp. 113–114.