ヨーロッパの大温泉保養都市群(ヨーロッパのだいおんせんほようとしぐん)は、ヨーロッパの7か国の11の温泉都市からなる、国境を越えた世界遺産である。これらの町は天然鉱泉を中心に開発され、18世紀初頭から1930年代にかけて栄えた[1][2]。
登録経緯
構成資産のうち、バースについては、バース市街が既に1987年にユネスコの世界遺産リストに登録されていた[3]。温泉保養地を登録しようとする動きとしては、チェコの「ルハチョヴィツェ(英語版)の温泉保養地とその歴史的温泉関連建造物群」が推薦された例はあったが、第32回世界遺産委員会では登録延期と決議されていた[4]。
今回の構成資産に係る取り組みは2012年に始まった[5]。2014年6月から8月の間に7か国すべてが関連する資産を世界遺産の暫定リストに記載し[4]、2019年に正式な推薦書が提出された。世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議の現地調査も同年の9月から10月に行われ、ICOMOSと推薦各国との調整も2020年春には終わっていたものの[4]、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による世界遺産委員会の延期のため、この物件の審議も延期された。2021年7月24日、第44回世界遺産委員会拡大会合で正式に世界遺産に登録された[2]。なお、ICOMOSは登録を勧告していたものの、英語名称を推薦時のThe Great Spas of EuropeからThe Great Spa Towns of Europeにすることも勧告していた[6]。正式登録名はこれを反映している。
登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
- (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
登録地一覧
分布図
脚注
参考文献
外部リンク