ヨハネス (ヨハン )・アブラハム・デ・メイ (Johannes(Johan) Abraham de Meij, 1953年 11月23日 [ 1] - )は、オランダ の作曲家 、指揮者 、トロンボーン奏者 。ヨハン・デ=メイ などとも表記される。
人物・来歴
フォールビュルフ (オランダ語版 ) に生まれ、ハーグ王立音楽院 で吹奏楽 指揮 とトロンボーンを学ぶ。卒業後、オランダ軍軍楽隊のトランペット およびトロンボーン奏者、アムステルダム・ウィンド・オーケストラ(The Amsterdam Wind Orchestra )のトロンボーンおよびユーフォニアム 奏者、アムステルダム・トロンボーン・カルテット奏者として活動する傍ら、音楽のジャンルを問わない編曲活動を行う。デ・メイの最初の本格的な吹奏楽作品である交響曲第1番「指輪物語 」で1989年 にサドラー国際吹奏楽作曲賞 を受賞し、吹奏楽作曲家としてデビュー。その後、吹奏楽 編成の作曲活動を中心に、編曲家としても多くの作品を世に送り出している。
指揮者としても世界的な活躍を見せており、ニューヨーク・ウィンド・シンフォニーと九州管楽合奏団 の首席客演指揮者や、シモン・ボリバル青少年交響吹奏楽団(Banda Sinfónica Juvenil Simón Bolívar )の定期客演指揮者を務める。
2007年、吹奏楽の発展への貢献が評価され「オランダ・ウインド・ミュージック賞2007」を授与されている[ 1] 。
主要作品
日本では主に吹奏楽編成 の楽曲が知られているが、その他にも管弦楽曲 なども手掛けており、また、クラシック音楽やミュージカルなどの名曲からの編曲作品も多い。吹奏楽の分野では、日本国内においてその名が知られるようになった1990年代以降、フィリップ・スパーク やヤン・ヴァン=デル=ロースト らとともに安定した人気を誇るヨーロッパの作曲家の1人である。また、下述の主要作品にあるように、複数の編成の作品に同じタイトルの作品があるものが存在するが、これはどちらかの編成で作曲した後、作曲者自身の手によってもう一方の編成用に編んだためであり、同様の手法は上述のスパークら他のヨーロッパの作曲家にも見られる。(交響曲第1番「指輪物語」の管弦楽編成は、デ=メイ監修、ヘンク・デ・フリーヘル編曲。)
吹奏楽作品
ブラスバンド作品
エクストリーム・メイクオーヴァー 〜チャイコフスキーの主題による変容〜
シンフォニエッタ第1番
ブラスアンサンブル作品
管弦楽作品
交響曲第2番「ビッグ・アップル (ニューヨーク シンフォニー)」
交響曲第3番「プラネット・アース」
クレツマー・クラシックス
ウィンディー・シティー序曲
編曲作品
作品解説
ここに挙げる楽曲は、交響曲ということで、その編成の規模の大きさ、楽曲の難易度の高さ、演奏時間の長さ等々の理由から、日本国内においては、全楽章を演奏会で取り上げる例は多いとは言い難い。但し、アマチュア団体が演奏会やコンクール等で、一部の楽章を取り上げる(各楽章からの抜粋含む)例は存在する。また、そうした声を反映して、ポール・ラヴェンダー (オランダ語版 ) などの手による、難易度を下げたハイライト版の編曲譜(デ=メイ本人によるものではない)も存在する。編曲譜には、ポール・ラヴェンダー編曲による交響曲第1番「指輪物語」抜粋版などのように、演奏上の難易度を考慮して一部楽章に原曲とは異なる調性 によって編曲されたものもある点は注意を要する。
交響曲第1番「指輪物語」
交響曲第1番「指輪物語」 (The Lord of the Rings)は、イギリスの作家 J・R・R・トールキン のファンタジー作品『指輪物語 』に着想を得た、『旅の仲間 』がモチーフの、5楽章構成の吹奏楽編成の交響曲である。1988年作曲。演奏時間は、およそ40分。1989年に、ヨーロッパの作曲家による作品としては初となるサドラー国際吹奏楽作曲コンペティション (サドラー賞と略称される)で1等を獲得[ 1] している。人気や評価の高いオーケストラ作品では、一つの作品に対して 様々な指揮者・オーケストラによるCDがリリースされるが、それと同様に、世界の主要な吹奏楽団による演奏のCDがリリースされている。また、曲は吹奏楽がオリジナルの編成であるが、2001年には、ヘンク・デ・フリーヘル(Henk de Vlieger)によって管弦楽編成への編曲がなされ(デ=メイが監修)、ロンドン交響楽団 の演奏によるCDが発売された。
魔法使い"ガンダルフ "
エルフの森"ロスロリアン "
ゴクリ (スメアゴル)
暗闇の旅 (a. モリアの坑道、 b. カザド=ドゥムの橋)
ホビット たち
交響曲第2番「ビッグ・アップル」
交響曲第2番「ビッグ・アップル」(ニューヨーク シンフォニー) は、アメリカ合衆国 の都市・ニューヨーク の光景を描いた、2楽章構成の吹奏楽編成の交響曲である。1楽章と2楽章の間に「タイムズ・スクウェア・カデンツァ」という"つなぎ"の部分があるが、これがこの楽曲の特徴の一つとも言える。これには、作曲者デ=メイ自身が、ニューヨークの街中で録音したという「喧騒」が効果音として用いられる(フルスコアにCDで付いている)。楽曲は、全体で30分を超える演奏時間であるが、特に高音金管楽器群は 速いパッセージの連続したハイトーンを要求されるなど、超絶技巧に近い演奏技術と、吹きこなせるだけの体力を求められる難曲・大曲であると言える。この曲も、交響曲第1番「指輪物語」と同様、管弦楽版への編曲がなされ(デ=メイ本人による)、CDが発売されている。
スカイライン(Skyline)
タイムズ・スクウェア・カデンツァ(Interlude)
ゴーサム(Gotham)
交響曲第3番「プラネット・アース」
交響曲第3番「プラネット・アース」 は、"惑星地球"をテーマに描いた、3楽章構成の管弦楽編成の交響曲である。この交響曲は、前2作とは異なり、管弦楽のための楽曲として作られた。SE(効果音)が多く用いられ、壮大な楽曲に仕上がっている。第1楽章 及び 第3楽章には女声合唱も加わる。演奏時間は約50分。北オランダ管弦楽団のアーティスティックマネージャーの委嘱により作曲され、2006年3月2日に オランダ・ロッテルダム において 同楽団の演奏により世界初演。吹奏楽版は、2007年6月8日に、大阪市音楽団 の第94回定期演奏会にて作曲者デ=メイ自身の指揮によって日本初演された。吹奏楽版は、2006年のコルチャーノ国際吹奏楽作曲コンクール で2位を獲得している。
ロンリー・プラネット - 主にSEが主役の楽章。演奏時間 約17分。
プラネット・アース - 冒頭のホルンのソロを筆頭に管弦楽が主役の楽章。演奏時間 約17分。
マザー・アース - SEと管弦楽と合唱が加わり楽曲を形作る。演奏時間 約17分。
脚注
外部リンク