メイリオ (Meiryo)は、和文のゴシック体 フォント の一つである。Windows Vista 日本語版のシステム用フォントとして開発された[ 1] [ 2] 。Vista以降のマイクロソフト 製OS に標準で搭載され、Windows XP 、Windows Server 2003 までのMicrosoft Windows で利用されたMS UI Gothic に代わり、日本語版の新しいシステム用フォントとなった。
解説
TrueType アウトライン の OpenType フォント で、ビットマップ を持たずレンダリング の際にClearType の使用を前提とするフォントである。欧文部はプロポーショナルフォント 、和文部は等幅フォント で、全体としてプロポーショナルフォント になっている。
サンセリフ (ゴシック体 )系の書体で、直線部分と曲線部分がはっきりした若干膨らんだ印象の字形は横組みの可読性 を重視した。和文は縦横比 95:100 と若干横長である。デザインは欧文部のラテン文字 をマシュー・カーター が担当し、和文部の漢字と仮名 を河野英一 およびシーアンドジイ (C&G) で当時、代表取締役を勤めていた坂本達やタイプディレクター&デザイナーの鈴木竹治、シニア・デザイナーの植田由紀子が担当した[ 3] [ 4] 。欧文部はカーターがデザインした Verdana を基に再構築され、和文部は Verdana を基調にデザインされた[ 5] 。和文はベースラインを少し高くするなど工夫して、和文と欧文が混在する文章で可読性を高めている。
JIS X 0213:2004 (以下「JIS2004」)の文字に対応しており、戸籍法 施行規則に基づく全ての人名用漢字 が支障なく使用できる。JIS2004 の文字に対応するその他のフォントは、MS 系統のMS ゴシック、MS Pゴシック、MS UI Gothic とMS 明朝、MS P明朝 があり、これらは Windows XP などへも提供され[ 6] 、JIS2004 の文字に対応していなかった Windows でも JIS2004 の文字との互換性 を持たせることができる。Windows 7 に搭載されたバージョンからJIS X 0212 の文字にも対応した。
いくつかのOpenTypeのレイアウト機能に対応しており、対応アプリケーションではJIS78、JIS83、JIS90字形への切替[ 注 1] や、ひらがなやカタカナなどを半角等幅の字体へ切替[ 注 2] られる。Windows 8 搭載のバージョンは JIS2004 で例示字形が変更される以前のJIS90字形の約120文字が、IVS(異体字セレクタ) で利用できる。
Windows 7 は後述する Meiryo UI が限定的に採用され、Windows 8 はメイリオに代わって Meiryo UI が全面採用された。Windows 10 はシステムフォントとして Yu Gothic UI が新たに採用され、メイリオおよび Meiryo UI はシステムフォントではなくなった。
フォント名
「メイリオ(Meiryo)」の語源は日本語の「明瞭」に基づき、画面上で見ても印刷しても極めて明瞭で読みやすいところから名付けられた。メイリョウでなく「メイリオ」であるのはアジア情緒な響きと「メイリョウ」より1文字少なくて済むためである[ 3] 。フォントとしてはプロポーショナルフォントに属するが、フォント名に一部の TrueType フォントで採用されている等幅フォントではないことを示す「P」や「S」の文字が含まれていない。
フォントファミリーの仕様
標準のレギュラー、太字のボールド、斜体のイタリック 、太字斜体のボールドイタリックと4種類のウェイトによるフォントファミリーで構成されている。ボールドはレギュラーを単純に太くせずに若干異なる造型である。和文は斜体 表記を行う文化的背景がないとの意見から、イタリックはラテン文字部のみ提供されることになった。
ClearType
メイリオは上述のように全てのサイズのフォント描画に ClearType を使用し、ビットマップを有していない[ 7] が、 Windows の日本語フォントとしては初めての試みである。MS ゴシック などの従来から提供されているフォントは、画面上での可読性 を確保するために 17pt 未満の小さいサイズは内蔵のビットマップフォントが表示される[ 8] 。メイリオでは小さなサイズもアウトラインで綺麗な表示を実現するために、膨大なヒンティングデータが盛り込まれている。このヒンティングにより、水平方向の線分が縦に並んでいる漢字も線分が間引かれて表示されるため、潰れることなく表示できる。
Meiryo UI
Meiryo と Meiryo UI を比較
Windows Vista の後継 Windows 7 は新たに、リボン UI に最適化して開発されたフォント[ 9] の Meiryo UI を採用した。
メイリオと比較して行間が狭く、ひらがなとカタカナの文字幅が MS UI Gothic に近似し、これまでの MS UI Gothic に近い形でグラフィカルユーザインターフェース のデザインが可能となるが、アルファベット の文字幅はメイリオに等しく行間は MS UI Gothic に比して非常に広いため、 MS UI Gothic と完全な互換性 、すなわち単純にフォントを置換するだけでの置換可能性はない。濁点 や句読点 を再構成して ClearType を再調整しておりメイリオの文字幅を狭くしたものではないが、 MS UI Gothic 特有の非等幅性に起因する「不揃い」は残存する。
Windows 7 のユーザーインターフェイス の大部分は、 Vista に引き続きメイリオが用いられて全体として Meiryo UI は一部分であり、コントロールパネル 項目の一部、ペイント 、ワードパッド など同梱アプリケーション の一部などの Vista で MS UI Gothic を用いた要素は Meiryo UI で、ダイアログボックス などは MS UI Gothic が残る。
2009年 11月17日 にマイクロソフトが Windows Vista/Server 2008 向けに Meiryo UI を含んだメイリオ フォント コレクションのアップデートを公開[ 9] し、全ての Windows Vista ユーザーにインストールを推奨している。
Windows 8 日本語版のユーザインタフェースは全面的に Meiryo UI が採用された。
旧版Windowsや他のOSでの使用
Windows XPおよびWindows Server 2003
Mac OS X
受賞歴
脚注
注釈
^ jp78, jp83, jp90タグ
^ hwidタグ
出典
関連項目
外部リンク