『マカバイ記』は、ヘレニズム時代のユダヤの歴史を描く歴史書の1つ。『マカバイ記』は教派によって扱いに違いがあり、ユダヤ教とプロテスタントでは外典として扱い、カトリック教会では1と2を正典(第二正典)に収め、正教会では1と2に加えて3までも正典に収めている。
概要
マカバイ記1ではアレクサンドロス3世の東征に始まり、ハスモン朝の支配が確立されるまでの歴史をマカバイ戦争を中心に描いている。そしてそのなかで異邦人に汚されたエルサレム神殿がふたたび清められたことがハヌカ祭のおこりであると述べている。
マカバイ記2ではエジプトのユダヤ人へハヌカ祭を祝うよう薦める書簡から始まり、ユダヤに対する迫害とそれに対抗する宗教的情熱、ユダ・マカバイの活躍が描かれている。
マカバイ記3は、内容的にはマカバイ戦争とはなんの関連もない。プトレマイオス朝エジプトを舞台に、エルサレム神殿に入ることができなかったことに憤慨した王が、アレクサンドリアのユダヤ人を集めて虐殺しようとするが、神の力によってユダヤ人が助けられるという内容である。
マカバイ記4は歴史書というより思想書であり、理性と感情の問題が哲学的に扱われる。その議論の中で、マカバイ記2に登場する殉教者たちが引き合いに出されている。なお、一時このマカバイ記4の著者が『ユダヤ戦記』や『ユダヤ古代誌』などを書いたフラウィウス・ヨセフスだという説が流れていたため、16世紀に印刷されたラテン語のヨセフス全集にこれが『殉教物語』の名義で入っていたことがある[1]。
マカバイ記1・2の詳細な内容
- マカバイ記1
- ヘレニズムと小アジア(1:1-1:9)
- マカバイ戦争の勃発(1:10-2:70)
- ユダ・マカバイの指導(3:1-9:22)
- その弟ヨナタンの指導(9:23-12:54)
- 大祭司シモン(13:1-16:24)
- マカバイ記2
- エジプトのユダヤ人への書簡(1:1-2:18)
- 序文(2:19-2:32)
- ヘリオドロスの神殿冒涜のたくらみ(3:1-3:40)
- 迫害(4:1-7:42)
- ユダの勝利と神殿の清め(8:1-10:8)
- 新たなる迫害(10:9-15:36)
- 結び(15:37-15:39)
脚注
関連項目