オースティン・リチャード・ポスト (英語 : Austin Richard Post 、1995年 7月4日 - )は[ 6] [ 7] 、ポスト・マローン (Post Malone )の芸名で知られる、アメリカ合衆国 のラッパー 、歌手 、作詞家 、そして音楽プロデューサー である。彼の内観 的な作曲と簡潔な歌唱スタイル、様々な音楽ジャンルの融合により評価を受けている[ 8] [ 9] [ 10] 。
概要
ニューヨーク州シラキュースで生まれ、テキサス州グレープバインで育ったマローンは、2015年にデビューシングル「White Iverson」をリリースし、キャリアをスタートさせた[ 11] 。
「White Iverson」はUS Billboard Hot 100 で14位に達し、その後、アメリカで4×プラチナ認定を受けた。その成功により、彼はリパブリック・レコード とレコーディング契約を結んだ[ 12] 。マローンはそれ以来、US Billboard 200 においてアルバム『Stoney』(2016)で4位を、アルバム『Beerbongs&Bentleys』(2018)、『Hollywood's Bleeding』(2019)で1位を獲得した。『Beerbongs&Bentleys』は発売時にいくつかのストリーミングレコードを破り、『Stoney』は米R&B/ヒップホップ・アルバム・チャートにおけるトップ10獲得週数で歴代最多記録を打ち立てた[ 13] [ 14] 。さらに、Billboard Hot 100において、「Congratulations」と「Better Now」、「Wow」、「Goodbyes」でチャートトップ10を、「Rockstar」と「Psycho」、「Sunflower」、「Circles」で1位を獲得した。
生い立ち
1995年 7月4日 にニューヨーク州 シラキュース で生まれた[ 15] [ 16] 。生みの母親はイタリア系アメリカ人 であった[ 17] 。マローンはネイティブアメリカンの祖先を持っていると述べてもいる。父親のリッチ・ポストと彼の継母であるジョディによって育てられた。幼少期に父親がDJ だったことから、ヒップホップ、カントリー 、ロックなど、さまざまなジャンルの音楽に触れていた[ 18] 。9歳の時に、父がダラス・カウボーイズ の職員になったことに伴い、テキサス州 グレイプバイン に引っ越した[ 19] [ 20] [ 21] 。「ギター・ヒーロー」というビデオゲームから本格的にギターに興味をもち始め、ギターを始めた[ 22] [ 23] 。始めると熱中し、地元の大会で優勝し、2010年にはクラウン・ジ・エンパイア (英語版 ) のオーディションを受けたが、オーディション中にギターの弦が壊れたため落選した。
エモ を好んでおり、2017年6月にロサンゼルスのエモナイトでDJイベントに出演し、マイ・ケミカル・ロマンス の楽曲を演奏した[ 24] 。ポストによると、プロの音楽の世界に飛び込んだときはヘヴィメタル バンドにいたという[ 25] 。その後ロックやヒップホップに転向したという。 16歳の時、Audacityを使用して、最初のミックステープである「Young and After Them Riches」を作成した[ 25] 。それをグレイプバイン高校のクラスメートに見せ、クラスメートから「最も有名になる可能性が高そうな人」に選ばれた。また、高校生のころにはチキンエクスプレスで働いていた[ 23] 。
高校卒業後はタラント・カウンティ・カレッジに入学したが、中退した[ 26] 。大学を退学した後、長年の友人でプロのゲーム実況者のジェイソン・プロブストと一緒に、カリフォルニア州 ロサンゼルス に引っ越した[ 25] 。14歳か15歳の時にステージ名である「ポスト・マローン」を選んだ。その名前はプロバスケットボール選手のカール・マローン からとったと噂されていたが、後にマローンが「ポスト」は自身のラストネームで、 「マローン」は名前を入力するとラッパーらしい名前に変換してくれるラップネームジェネレータを使ってを手に入れたと明かしている[ 27] 。
経歴
2013-16年:キャリア初期、Stoney
ロサンゼルスに引っ越した後、ポストとプロブスト、そして他の何人かのプロデューサーやアーティストが音楽グループ「BLCKVRD」を結成し、一緒に音楽制作を行った[ 28] 。その後、グループの何人かのメンバーと共にサンフェルナンド・バレー に引っ越し、そこで「White Iverson」を含むいくつかのマローンのトラックをプロデュースすることになる音楽制作チーム「FKi」のFKi 1st (英語版 ) やSauce Lord Rich、Rex Kudoに出会った[ 29] 。「White Iverson」は作詞された2日後にレコーディングが行われた。この曲はプロバスケットボール選手のアレン・アイバーソン からインスピレーションを受けている[ 30] [ 31] 。2015年の2月に自身のSoundCloud アカウントでこの曲を発表し[ 32] 、7月19日にミュージックビデオを解禁した。マック・ミラー やウィズ・カリファ に称賛されたが[ 33] 、アール・スウェットシャツ からは酷評を受けた[ 34] 。
「White Iverson」はリリースしてから1か月以内に100万回再生のヒットになり、すぐにレコードレーベルから注目を集めた。2015年8月、リパブリック・レコード とレコーディング契約を結んだ[ 35] 。その後、50セント やヤング・サグ などの著名なラッパーたちと仕事をした[ 36] 。カイリー・ジェンナー の18歳の誕生日パーティーでカニエ・ウェスト と出会い、彼のアルバム 『The Life of Pablo』のシングル「Fade」でコラボレーションした[ 37] 。ジャスティン・ビーバー とも友好関係を築き、ビーバーの「Purpose world tour」のオープニングアクト を務めた[ 38] 。2016年4月20日、新曲「Go Flex」をゼイン・ロウ (英語版 ) のBeats 1ショーで初公開した[ 39] 。5月12日には、8月26日というタイトルの初のフルレングスプロジェクト、ミックステープ をリリースした[ 40] 。そのタイトルは彼のデビューアルバムのリリース日を示していた。6月9日、「ジミー・キンメル・ライブ! 」で全国テレビデビューを果たし、「Go Flex」を披露した[ 41] 。
2016年8月、新アルバム『Stoney』が遅れていることについて謝罪を出した[ 42] 。11月4日に予約注文が可能になり、12月9日にリリースされた。Billboard Hot 100 でトップ10に入ったQuavo をフィーチャーしたシングル「Congratulations」の成功にもかかわらず[ 43] 、マローンはアルバムを"平凡"と呼んだ[ 20] 。また、『Stoney』はトップ100に入った「I Fall Apart」とジャスティン・ビーバーをフィーチャーした「Deja Vu」を含んでおり、アルバムは2017年10月にRIAA によってダブルプラチナとして認定された[ 44] 。
2017-18年:Beerbongs & Bentleys
Stavernfestivalenでのマローン(2018年)
2017年2月、次のプロジェクトのタイトルとして『Beerbongs&Bentleys』を発表し、12月にリリースされる予定だとした(結局リリースは2018年になった)[ 45] 。9月にアルバムからファーストシングルとなる21 Savage をフィーチャーした「Rockstar」をリリースした。この曲はBillboard Hot 100でナンバーワンに達し、8週間連続で首位をキープした[ 46] 。11月に公式ミュージックビデオを発表した[ 47] 。2018年2月20日、Ty Dolla Sign と新曲「Psycho」をプレビューし、2月23日にリリースされた。この曲もBillboard Hot 100で1位を獲得。21 Savageとのツアーも発表された[ 48] 。
2018年4月5日、『Beerbongs&Bentleys』が4月27日にリリースされると発表した[ 49] 。Spotify において、『Beerbongs&Bentleys』の収録曲はリリース初日から24時間で全世界で7,870万回再生に達し、歴代1位となる新記録を打ち立てた[ 50] 。Billboard 200 で1週目に46万1千枚アルバム相当単位 を売り上げ、15万3千枚のアルバムセールスを記録した[ 51] 。アルバムは、4日後にRIAAによってプラチナ認定を受け、Billboard Hot 100のトップ20に9曲が同時にランクインし、ビートルズ が54年間保持していた記録を更新した[ 52] 。
「Rockstar」はビルボード・ミュージック・アワード 2018でトップラップソングに選出された。『Stoney』は、2018年8月11日付の米ビルボード・トップ・R&B/ヒップホップ・アルバム・チャートで9位になり、計77週TOP10にチャートインしたことで、マイケル・ジャクソン の『スリラー 』が1983から1984年にかけて達成した76週の歴代最多週数記録を更新した[ 53] 。同月にマック・ミラー がポストとのジョイント・アルバムをリリースする可能性を示唆したが[ 54] 、翌月にミラーが急逝し[ 55] 、実現しなかった。第61回グラミー賞 では、最優秀アルバム賞や最優秀レコード賞を含む4部門に『Beerbongs&Bentleys』がノミネートされたが、惜しくも受賞はならず[ 56] 。授賞式ではレッド・ホット・チリ・ペッパーズ とコラボ・パフォーマンスを行い、会場を沸かせた[ 57] 。
2018年7月にフジロックフェスティバル ’18の出演で初来日を果たした[ 58] 。
2018-19年:Hollywood's Bleeding
2018年10月のジミー・ファロン が司会を務める番組で、『スパイダーマン:スパイダーバース 』の主題歌になる新曲「Sunflower」を10秒だけプレビューし、後にリリースした[ 59] 。スウェイ・リー と共作・共演であるこの曲は2019年1月にBillboard Hot 100で1位を獲得した[ 60] 。2018年12月24日にはシングル「Wow. (英語版 ) 」をサプライズ・リリース。ポスト・マローンがサンタに扮したアニメビデオも同時に公開された。この曲は惜しくも1位にはならなかったが2019年4月にThe Billboard Hot 100で最高2位を記録し、[ 61] ポストにとって6曲目の全米TOP10ヒットとなった。2019年3月、この曲に合わせてキレキレに踊る中年男性がアメリカで話題に。ダンス・スクールの先生であるマイク・アランコートという43歳のこの男性は一躍人気者となり、ポスト本人からライブに招待され、遂には「Wow.」の公式ミュージック・ビデオに出演するに至った[ 62] 。
2019年7月2日、自身のSNSで誕生日翌日の7月5日にアトランタ出身のラッパー、ヤング・サグ と初共演した新曲「Goodbyes」をリリースすることを発表[ 63] 。この曲は、これまでマローンのいくつかの曲を手掛けたルイス・ベルと、Fifth Harmony「Work From Home」、Camila Cabello「Havana」等のヒットを手掛けた韓国系のプロデューサーであるブライアン・リーが共同でプロデュースしている[ 63] 。同時公開されたミュージック・ビデオでは、冒頭にポスト・マローンがギャングと決闘しナイフで刺し殺される残虐なシーンがあったため、その部分をカットした「Rated PG」バージョンが急遽公開された[ 64] 。「Goodbyes」はBillboard Hot 100で最高3位を記録する[ 65] 。
8月26日、3rdアルバム『Hollywoods’s Bleeding』を9月6日にリリースすることを発表[ 66] 。アルバムには「Sunflower」以降のシングルが収録される。8月30日にはシングル「Circles」をリリースし、後に全米1位を獲得。予定通りに発売されたアルバムはBillboard 200で初登場1位を記録すると、年内に計5週の1位を獲得した[ 67] 。
第62回グラミー賞 では、「Sunflower」で年間最優秀レコードと最優秀ポップ・パフォーマンスにノミネートされた。
2020年-:Twelve Carat Toothache
2021年のマローン
2020年は新型コロナウイルス感染症 が広まりを見せる中で、3月12日にデンバー でのライブを決行したことで非難を浴び、それ以降の日程はすべてキャンセルされた[ 68] 。4月24日に新型コロナウイルス救済のため、ニルヴァーナ ・トリビュートコンサートの生配信を行った[ 69] 。寄付金は500万ドルにもなり、パフォーマンスはカート・コバーン の未亡人コートニー・ラブ からも称賛された。また、その中で新アルバムが進行中であることを公表した。
6月にTyla Yawehとの共作で「Tommy Lee」をリリース。タイトルにもなっているトミー・リー は、リリックに登場するだけでなく、ドラムもプレイしている。2021年4月にはDJキャレド のアルバム『Khaled Khaled』に収録された「I Did It」へ参加した。7月9日に「Motley Crew」を、11月5日にザ・ウィークエンド をフィーチャーした「One Right Now」をリリースした。この年は、3曲がRIAAによってダイアモンド認定された最年少のアーティストとなった。
2022年1月26日、4枚目のスタジオアルバムが『Twelve Carat Toothache 』と題されることを明らかにした[ 70] 。
音楽スタイル
2020年のマローン
ポスト・マローンの音楽は「カントリー 、グランジ 、ヒップホップ 、そしてR&B のるつぼ」と表現されており[ 71] 、マローン自身は多面的と表現している[ 72] 。ボーカルスタイルは簡潔と言われてきた[ 8] 。ニューヨーク・タイムズ のJon Caramanicaは、「歌とラップ、そしてヒップホップと不気味なエレクトリックフォークの境界線にいるアーティスト」と表現[ 73] 。マローン自身は「ジャンルレス」だと述べている[ 74] 。
15歳の時に聴いて衝撃を受けたことから、ボブ・ディラン に憧れている[ 75] 。特に「サブタレニアン・ホームシック・ブルース 」は「最初のラップソング」だと語っている[ 20] 。他には50セント やKEY!を尊敬し、影響を受けているという[ 76] [ 77] 。
ヒップホップ ・シーンは、オルタナティブ な回路で音源を広めるミックステープ のカルチャーによって発展してきたが、2010年代に入るとそのミックステープの役割はネットで自由に音源を発表できるSoundCloud が担うようになった。ポスト・マローンはその先駆けにして、最大の成り上がりとなった。白人ながら、黒人文化のヒップホップに受け入れられたことも特徴である。[ 78]
人物
ライブでの定番パフォーマンスとして、自分または他人の履いていた靴を器にしてお酒を飲む「シューイ(Shoey)」と呼ばれる行為がある[ 79] 。この罰ゲーム的な行為を自ら率先して行う姿が、彼の大ヒット曲のタイトルでもある「ロックスター(Rockstar)」そのものだとファンから大絶賛されている。
2018年にフェスの出演で初来日して以降、プライベートで何度か来日し、函館 のお祭りに参加したりしている[ 80] 。
2022年6月、娘の出産を報告。その後娘の母であるアメリカの韓国人留学生と婚約した。
マジック:ザ・ギャザリングの愛好家としても知られ、一つの指輪の特別バージョンを260万ドル(約3億7000万円)で購入した。
タトゥー
顎に1stアルバム「STONEY」のタトゥー
顔を含めた全身に無数のタトゥー が彫られていることが知られている。初めて入れたのは『Stoney』を制作したときで、ジャスティン・ビーバー と仕事をしているときに彫り師が来たことがあり、そこで『ジャスティンにはすでにいくつかタトゥーが入ってる。でも、俺のほうがジャスティンより全然タフだ』ということを証明するために彫ったという[ 81] 。初めてのタトゥーはプレイボーイのバニー。
顔面にタトゥーを施した理由について、「ママを怒らせるためだったら何でも」と語っている[ 82] 。母親との関係は良好なので、これはもちろん冗談である。
2018年7月に初来日した際、右腕と顔面に新たなタトゥーを施した[ 83] 。
ディスコグラフィ
アルバム
年
タイトル
アルバム詳細
チャート最高位
認定
US [ 84]
AUS [ 85]
CAN[ 86]
DEN [ 87]
NLD[ 88]
NZ [ 89]
SWE [ 90]
UK [ 91]
2016
Stoney
4
5
5
2
37
3
2
10
2018
Beerbongs & Bentleys
発売日: 2018年4月27日[ 101]
レーベル: Republic
フォーマット: CD, LP, digital download, streaming
全米売上: 459万枚[ 102]
1
1
1
1
1
1
1
1
2019
Hollywoods’s Bleeding
発売日: 2019年9月6日[ 106]
レーベル: Republic
フォーマット: CD, LP, digital download, streaming, cassette
全米売上: 357万枚[ 107]
1
1
1
1
1
1
3
1
2022
Twelve Carat Toothache
発売日: 2022年6月3日
レーベル: Republic, マーキュリー
フォーマット: CD, LP, digital download, streaming, cassette
2
2
1
2
2
2
3
3
受賞歴
来日公演
出演作品
映画
脚注
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外部リンク