ホノケ山(ホノケやま)は、福井県南条郡南越前町にある山。北と南にピークをもつ双耳峰であり、北峰が少し高く二等三角点(基準点名:戸谷)が設置されている[3]。山名は、狼煙台があったことに由来する。
概要
ホノケ山には、越前府中(現在の武生)や京都に危急を連絡する狼煙台があったと伝えられ、「火の気」が転じ「ホノケ」となったという[3][4][5]。またカタカナ名であるのは、陸地測量部による地図作成当時、地元案内人に山名を尋ねたところ、その者が文字を読めなかったため確認ができず、やむなくカタカナで記載したという[3]。幕末には、外国船の監視のため、見張り台が置かれたともいう[5]。
ホノケ山の北側には古くからの峠道である菅谷峠(すげんたん とうげ)があり、北前船の寄港地の河野村と越前府中を結ぶ交通路のひとつであった[3][5]。若狭脇往来、古北陸道、塩の道とも言われ、古い歴史を持つとされるが、確かな記録がなく「まぼろしの北陸道」と呼ばれている[6][7]。
菅谷峠は1993年4月に一般県道河野南条線が国道305号へ昇格編入されたものの車両の通行ができなかったが、20年後の2013年11月には国道305号のホノケ山トンネルが開通し点線国道が解消、海側の国道8号と山側の国道365号が東西に結ばれ、河野地区と今庄・南条地区とのアクセスが大きく向上した。県内の一般道トンネルとしては最長の2709mである[8]。その後2020年3月に敦賀半島トンネルが完成したため二番目に長さとなってしまった。
登山
登山道はいずれも菅谷峠を経由するコースとなっており、登山口は東側の菅谷に1箇所、西側の奥野々と瓜生野にそれぞれ1箇所ある[5]。樹齢300年と言われる[6]ブナ林の尾根上は切通しの峠道であり、深さが6mに達する箇所もあり[7]、古くからの往来により深く掘り込まれたという[4]。
- 菅谷 登山口 - (1時間10分) - 菅谷峠 - (40分) - 山頂
- 奥野々 第2登山口 - (1時間10分) - 菅谷峠 -(40分)- 山頂
- 瓜生野 登山口 -(50分)- 奥野々コースと合流
山頂からは、南条・武生の平野部や敦賀湾が眼下に見え、天気に恵まれれば白山連峰や丹後半島も望むことができる[6]。
自然
地質
主に珪質のチャートで形成されており、その上を粘板岩や砂岩が覆っている。これらの岩石は砥石になるため、古くから採取されてきたという[3]。
植生
多雪地帯の特徴を示し、クリ、コナラ、ミズナラ、ブナ林に、ナツツバキ、エゾユズリハ、ユキバタツバキ、ハウチワカエデ、オオバクロモジ、マルバマンサク、タムシバ、ユキグニミツバツツジが占める[4]。
旧跡
脚注
出典
参考文献
- 『越前若狭 続 山々のルーツ』、上杉喜寿、安田書店、1987年9月20日
- 『分県登山ガイド19 福井県の山』、宮本数男、山と渓谷社、1999年12月10日第4刷
- 『登ってみねの福井の山 VOL.6』、福井山歩会、2004年5月
- 『ふくいの自然を楽しむ』、福井県自然観察指導員の会、楓工房、2004年3月10日