南東側から見たヘンリエッタ島
ヘンリエッタ島 (英 Henrietta Island、露 Остров Генриетты )は、ロシア の東シベリア海 に浮かぶ、デロング諸島 に属する無人島。1881年 に、アメリカ海軍 のジャネット探検隊によって発見され、隊長のジョージ・W・デロング の下で名づけられた。ヘンリエッタ島はデロング諸島の北端に位置し、陸地のおよそ40%が氷河 に覆われている。
島の形はおおよそ円形で、直径 約6km、面積12km2 、最高峰は315m(1,033フィート )である。
島は玄武岩 や閃緑岩 で形作られており、今から約4億年前のカレドニア造山運動 で造成されたと言われている。その証拠として、島内で古生代 の岩の破片が時折発見されている。
歴史
1879年 にジャネット探検隊は出航し、隊長はジョージ・W・デロングが務めた。探検隊の目的はウランゲリ島 を発見するのと、北極点 に近づくことであった。だが、1879年9月に探検隊はジャネット島近海に達し、ヘラルド島 を発見した。探検隊はその後数百マイルさまよった後、ウランゲリ島の北を通過し、1881年 5月に再びジャネット島とヘンリエッタ島に接近し、島を発見した。翌年の1882年 6月2日・3日には、ジョージ・W・メルヴィル (英語版 ) 率いる一行が探検に出かけた際に、島に記念碑を建て、われらがジャネット島を発見したと記録した。その1882年度の海軍長官報告書16ページには、「彼らは島にアメリカ国旗を掲げ、その島がアメリカ領であると宣言した」と記されている。
その後、1914年から15年にかけて、ロシア帝国 のボリス・ヴィリキツキー 率いる北極海航路 探検隊が、ヘンリエッタ島とジャネット島の地図を作成するためにヴァイガチ号 (ロシア語版 ) と名づけられた砕氷船 で島に近づいた。しかし、周辺の厚い氷に阻まれて上陸は失敗に終わった。翌年、ロシア帝国のイギリス大使は「上陸の失敗は探検隊を考慮した上の結果であった」と発表した。現在のロシア連邦 は、ヘンリエッタ島を近くの島と同じロシア領の一部としており、この主張は前のソビエト連邦 から変わっていない。
島には1937年 にソビエト連邦 の北極駐屯地が設けられたが、1963年 に閉鎖された。また、1979年 には同じくソ連の探検隊が北極点 近くでスキー を行った。
島の領有権は1881年の発見時にアメリカが主張し、1988年 にはアラスカ州 上院がアメリカの領有を支持する決議を出した。しかし、2003年 アメリカ合衆国国務省 は「ヘンリエッタ島の領有を主張したことはない」という声明を発表し、1994年 アラスカ州最高裁判所は「ヘンリエッタ島は近隣の島に加えアラスカ州の一部ではない」という定義を出した。
島の記述
メルヴィルによるヘンリエッタ島のスケッチ
デロング諸島を巡ったデロング探検隊は、ヘンリエッタ島を次のように解説している。
「島の地面は岩石を雪が覆っており、東側にはいくつかの氷河 がある。ヒメウミスズメ の群れの巣があり、島にあった小さなコケ、少し草と岩は記念として持ち帰った。崖の近くは非常に険しいため、近づく事は難しい」(デロング探検隊日誌 565P)
参考文献
Jeannette Arctic Expedition, 1879-1881 — Overview and Selected Images - ウェイバックマシン (2003年11月1日アーカイブ分) from the Naval Historical Center.
A Lengthy Deployment: The Jeannette Expedition in Arctic Waters as Described in Annual Reports of the Secretary of the Navy, 1880-1884 - ウェイバックマシン (2003年12月12日アーカイブ分) from the Naval Historical Center.
The Voyage Of The Jeannette: The Ship And Ice Journals Of George W. De Long, Volume II. Ed. Emma De Long. Houghton Mifflin And Company (1883). (online at the Internet Archive ).
Wrangel Island. The Geographical Journal , Vol. 62, No. 6. (Dec., 1923), pp. 440-444. (online , requires JSTOR access).
L.M. Starokadomski; O.J. Cattley. Vilkitski's North-East Passage, 1914-15. The Geographical Journal, Vol. 54, No. 6 (Dec., 1919), pp. 367-375. (online , requires JSTOR access).
Status of Wrangel and other Arctic islands from the US State Department.
Information sheet on De Long Islands from the Scott Polar Institute.
25 лет с Северным полюсом! , a description of the 1979 polar ski trek from the Adventure Club (Russian).
Vinogradov V.A., Gusev E.A., Lopatin B.G. Structure of the Russian Eastern Arctic Shelf, in R.A. Scott and D.K. Thurston (eds.) Proceedings of the Fourth International conference on Arctic margins, OCS study MMS 2006-003, U.S. Department of the Interior, 2006, p. 90-98. (online )