本来「プファルツ」は、宮中伯(プファルツ伯、Pfalzgraf)の領邦(または城)を指す普通名詞であった。しかし、13世紀中頃までにライン宮中伯以外の宮中伯は消滅したため、「プファルツ」というとライン宮中伯の領邦を指す地名のように使われることになった。ライン宮中伯家(プファルツ系ヴィッテルスバッハ家)出身の人物の家名がフォン・デア・プファルツ(von der Pfalz)と定冠詞付きで称されたのは普通名詞であった名残りである。
ライン宮中伯は13世紀頃に選帝侯の地位を獲得し、「プファルツ選帝侯」(Kurfürst von der Pfalz)と通称されるようになった。宮中伯と選帝侯を兼ねたのは歴史上ライン宮中伯のみであるため、単に「プファルツ選帝侯」だけでライン宮中伯を意味する。また、プファルツ選帝侯領は「クーアプファルツ」(Kurpfalz)と呼ばれる。