フィンランド国立博物館(フィンランドこくりつはくぶつかん, 芬: Kansallismuseo、典: Nationalmuseum)は、ヘルシンキ中心部[1]にある国立機関。フィンランドの歴史を石器時代から現在まで文化史を通して紹介する。所在する建物は国民ロマン主義様式で、文化教育省に属するフィンランド遺産庁(英語版)(芬: Museovirasto、典: Museiverket、2018年以前の呼称は国立遺跡委員会)の庁舎である[2]。
建物
当館建物の設計は、ゲセッリウス・リンドグレン・サーリネン設計事務所が手がけ、外観は同国の中世の教会や城の様式を映すフィンランドの国民ロマン主義、内装は主にアール・ヌーヴォーに統一されている。建築は1905年から1910年にわたり、一般公開は1916年に始まった[3]。1917年のフィンランド独立により「フィンランド国立博物館」と改称。大規模改修を経て、2000年7月に再開した[4]。2023年10月から長期休館中で、改修と増築を経て、2027年春の再開を予定している[5]。
博物館の玄関ホールの天井を彩るフレスコ画はアクセリ・ガッレン=カッレラが民族叙事詩「カレワラ」を主題に描いたもので、入場料を払わずに鑑賞できる。この天井画は1900年のパリ万博フィンランド館に描いた自らの作品に基づいて作成された[4]。
- 玄関ホールの天井画
アクセリ・ガッレン=カレラ作(1928年)
常設展
コイン、メダル、勲章、装飾品、銀製品、宝飾品、武器のコレクションで構成する。フィンランドの先史時代、12世紀中世から20世紀初頭のスウェーデン王国時代からロシア帝国時代にわたる社会と文化の発展、さらに工業化前の18世紀と19世紀の田園地帯の民俗文化まで通史を閲覧できる。
収蔵品にはアメリカのコロラド州の崖の住居址から発掘されたメサ・ヴェルデの遺物も含まれ、かつてスウェーデン人探検家グスタフ・ノルデンスキールド(英語版)から受贈した資料である。同遺構の遺物としてアメリカ国外で最も広範に揃い、またアメリカ先住民資料として南北アメリカ大陸を離れた最大のコレクションの1つであった[6]。2019年にはこれら考古学遺物をアメリカ合衆国先住民の代表者に返却すること、同館のもとにおよそ600点を残し展示することに合意した[7][8]。
爆発事故
2006年1月23日月曜日の事故は、当館の銀製品展示室で発生した。原因は漏れたメタンが排水路を伝って逆流し、床面の排水口から掃除用具入れに溜まったところへ、配電盤の火花が引火したと推定された。メタンの発生源は2つ、建物が面するムセオカツ通りに埋設した都市ガスの配管か、あるいは下水道から自然発生したガスかと推測され、警察の捜査によりガス配管から漏れたと判明した。爆発で同展示室にあったほとんどの陳列ケースが壊れ、200超の展示資料のうち被害にあった49点のほとんどは軽度の損傷であり、当日は休館日であったことも幸いして、けが人はゼロであった[9][10]。同年末までに資料の修復を終え、同室は2007年初頭に一般公開に復した。
ギャラリー
関連項目
関連資料
脚注
外部リンク