パット・ヘネン(Pat Hennen, 1953年4月27日 - 2024年4月7日)は、アメリカ合衆国アリゾナ州フェニックス出身の元オートバイレーサー。アメリカ人として初めてロードレース世界選手権で優勝したライダーである。
経歴
ヘネンのレースキャリアは、若いころに家族と共に移り住んだ北カリフォルニアでダートトラックレースに出会ったところから始まった。そこで注目を集めたヘネンはスズキのファクトリーチームに迎えられ、グランプリへの参戦を開始する。そして1976年、ヘネンは初出場ながらフィンランドで1勝を挙げ、500ccクラスでランキング3位を得た。このフィンランドの勝利が、アメリカ人がグランプリで初めて勝った瞬間であった。この時の勝利が余りにも予想外であったため、フィンランドのオーガナイザーは表彰式で流すべきアメリカ国歌のテープを用意していなかった[1]。
翌1977年、シルバーストンで行われたイギリスGPで1勝を挙げたヘネンは、前年に続いてランキング3位となった。ヘネンはまた、グランプリのシーズンオフにニュージーランドで開催されていたマールボロ・シリーズに参戦し、スズキのTR500、TR750、RG500といったマシンで3シーズン連続チャンピオンに輝いている(1974-75、1975-76、1976-77の3シーズン)。マールボロ・シリーズは5シーズンに渡って開催されたが、ヘネンはそのうちの3シーズンでタイトルを獲ったのである。
そして1978年、グランプリの合間を縫って出場したマン島TTレースでのクラッシュによって、前途有望と思われていたヘネンのレースキャリアは突然終わりを迎えることになった[2]。その日も好調で20分台後半のコースレコードを叩き出したヘネンは、150mph(約240km/h)の高速で縁石に突っ込んだのである。その時何が起きたのかは今もってはっきりとは分かっておらず、噂では鳥にぶつかったのではないかと言われている[2]。その時のクラッシュによってヘネンは頭部に重傷を負い、奇跡的に一命を取りとめたものの、その後遺症によりレースから引退せざるを得なかった。
現在ヘネンはカリフォルニアのサンマテオに住んでおり、2007年にはAMAモーターサイクル殿堂入りを果たした。
2024年4月7日に肺癌で死去。70歳没[3]。
脚注
外部リンク