この資産は、元々「バリ州の文化的景観」(Cultural Landscape of Bali Province) の名で2007年1月18日に世界遺産の暫定リストに記載され、31日に正式な推薦書が世界遺産センターに提出された[3]。2008年に審議された際には、文化的景観としてスバックと結びつきの深い資産をより適切に選定することを求められ、「登録延期」と決議された。指摘を踏まえてインドネシア当局は名称を「バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバック・システム」と修正し(名称は後述も参照)、2011年に推薦書を再提出した。それを踏まえた2012年の世界遺産委員会の審議で登録が認められた。
登録名
世界遺産としての正式名は、Cultural Landscape of Bali Province: the Subak System as a Manifestation of the Tri Hita Karana Philosophy(英語)、Paysage culturel de la province de Bali : le système des subak en tant que manifestation de la philosophie du Tri Hita Karana(フランス語)である。その日本語訳は、文献によって揺れがある。
バトゥール湖 (Lake Batur, 1194rev-002, 1606.4 ha / 210 ha) は、前述のとおり、スバックにとっても重要な川や泉を生み出した女神の住処と考えられている湖である。
ペクリサン川流域のスバック景観
ペクリサン川流域のスバック景観 (Subak Landscape of Pekerisan Watershed, 1194rev-003, 529.1 ha / 188 ha) は、9世紀に建てられた水の寺院や知られている範囲で最古の灌漑システムを含んでいる棚田の景観である[13]。
バトゥカル山のスバック景観
バトゥカル山(英語版)のスバック景観 (Subak Landscape of Catur Angga Batukaru, 1194rev-004, 17376.1 ha / 974.4 ha) には、ジャティルイ村の棚田が含まれる。ジャティルイ村はバリ州で最もコメの生産量の多いタバナン県の中でも、生物多様性の保持と水田管理の良好さとで評価される村である[14]。かつて緑の革命はバリ州にも及んだが、ジャティルイではアニアニ(稲穂刈りのための小刀)を使った収穫や、ゴトンロヨン(日本の結のような互助労働)など、古くからの様式が保存されている[15]。
タマン・アユン寺院
水の王立寺院タマン・アユン寺院 (Royal Water Temple Pura Taman Ayun, 1194rev-005, 6.9 ha / 51.3 ha) は、18世紀初頭に建造された最大の水の寺院である[6]。建築的にもほかの水の寺院と異なり、ジャワ島や中国の建築様式の影響が指摘されている[6]。