ノーベリー伯爵(ノーベリーはくしゃく、英: Earl of Norbury)は、アイルランド貴族の伯爵。アイルランド王国の裁判官ジョン・トラーが1827年に叙位されたことに始まる。
歴史
アイルランド庶民院議員、アイルランド法務次官(英語版)、アイルランド法務長官(英語版)を務めたジョン・トラー(1741?/1745–1831)はアイルランド民訴裁判所主席裁判官(英語版)への就任にあたり、1800年12月27日にアイルランド貴族であるティペラリー県バリークレノードにおけるノーベリー男爵に叙された[2]。さらに民訴裁判所主席裁判官の退任にあたり、1827年6月23日にキングス・カウンティにおけるグランダインのグランダイン子爵、ノーベリー伯爵に叙された[4]。また法務長官在任中の1797年11月24日には妻グレース(c.1758–1822)がアイルランド貴族であるティペラリー県ノッカルトンにおけるノーウッド女男爵に叙された[5]。
ノーウッド男爵位とノーベリー男爵位は通常通り初代男爵の男系子孫が継承できる一方、ノーベリー伯爵位は初代伯爵の次男ヘクター・ジョン・グレアム=トラー(1781–1839)への特別残余権(special remainder)が規定された。そのため、1800年合同法で規定された爵位昇叙ではなく、新規叙爵として扱われ、既存の爵位が3つ廃絶するという要件を満たす必要が生じた。したがって、ノーベリー伯爵位の創設はニューコメン男爵、ウィットワース伯爵、カールトン子爵の廃絶を根拠とした。
ノーウッド男爵位とノーベリー男爵位を継承した長男ダニエル・トラー(c.1780–1832)は未婚のまま死去、すでに父からノーベリー伯爵位を継承した次男ヘクター・ジョン・グレアム=トラーが3代ノーウッド男爵、3代ノーベリー男爵となった。以降、ノーウッド男爵位とノーベリー男爵位はノーベリー伯爵位の従属爵位となった。また2代伯爵は「グレアム」を姓に加えた。
2019年現在の当主は、2代伯爵の次男の玄孫にあたるリチャード・ジェームズ・グレアム=トラー(1967–)である[9]。
一覧
ノーウッド男爵(1797年)
- 初代ノーウッド女男爵グレース・トラー(1758年ごろ – 1822年)
- 第2代ノーウッド男爵(第2代ノーベリー男爵)ダニエル・トラー(1780年ごろ – 1832年)
- 第3代ノーウッド男爵(第3代ノーベリー男爵・第2代ノーベリー伯爵)ヘクター・ジョン・グレアム=トラー(1781年 – 1839年)
ノーベリー男爵(1800年)
- 初代ノーベリー男爵(初代ノーウッド男爵・初代ノーベリー伯爵)ジョン・トラー(1741年?/1745年 – 1831年)
- 第2代ノーベリー男爵(第2代ノーウッド男爵)ダニエル・トラー(1780年ごろ – 1832年)
- 第3代ノーベリー男爵(第3代ノーウッド男爵・第2代ノーベリー伯爵)ヘクター・ジョン・グレアム=トラー(1781年 – 1839年)
ノーベリー伯爵(1827年)
- 初代ノーベリー伯爵ジョン・トラー(1741年?/1745年 – 1831年)
- 第2代ノーベリー伯爵ヘクター・ジョン・グレアム=トラー(1781年 – 1839年)
- 第3代ノーベリー伯爵ヘクター・ジョン・グレアム=トラー(1810年 – 1873年)
- 第4代ノーベリー伯爵ウィリアム・ブラバゾン・リンジー・グレアム=トラー(1862年 – 1943年)
- 第5代ノーベリー伯爵ロナルド・イアン・モンタギュー・グレアム=トラー(1893年 – 1955年)
- 第6代ノーベリー伯爵ノエル・テレンス・グレアム=トラー(1939年 – 2000年)
- 第7代ノーベリー伯爵リチャード・ジェームズ・グレアム=トラー(1967年 – )
爵位の推定相続人はいない。
出典
参考文献