ディラック賞(ディラックしょう、Dirac Medal、ディラック・メダル)と呼ばれる著名な賞は4つあり、理論物理学、計算科学、数学の各分野において異なる組織によって授与されている。本項はその4つの賞を、便宜上、同一ページ内で解説するものである。
ICTPのディラック・メダル
ICTPのディラック・メダル(Dirac Medal of the ICTP)とは、イギリスの物理学者ポール・ディラックを記念して、アブドゥッサラーム・国際理論物理学センター(Abdus Salam International Centre for Theoretical Physics, ICTP)によって授与される賞である。授与は、毎年8月8日(ディラックの誕生日)に行なわれる。1985年に創設された。
著名な科学者たちからなる国際委員会が候補者のリストから受賞者を選出する。ノミネートの条件は、理論物理または数学の分野で活動していることである。
ICTPのディラック・メダルはノーベル賞受賞者、フィールズ賞受賞者、ウルフ賞受賞者には与えられない。ただし、逆にこの賞を受けた後でこれらの賞を授与された人物は数人いる。
なお、受賞者は5000ドルの賞金も授与される。
受賞者
ポール・ディラック賞
ポール・ディラック賞(Paul Dirac Medal and Prize)は、英国物理学会(The Institute of Physics)によって、例年「理論物理学(数理物理学、計算物理学を含む)への顕著な貢献」に対して授与される賞。副賞は銀箔の貼られたメダルと1000ポンドである。この賞は英国物理学会によって1985年までには企画され、1987年から実行に移された。
受賞者
WATOCのディラック・メダル
ディラックメダル(Dirac Medal)はThe World Association of Theoretical and Computational Chemists(理論化学者・計算化学者の世界協会、WATOC)が毎年「全世界の、40歳未満の傑出した計算化学者」に贈る賞である。1998年に開始された。
受賞者
- 1998年 Timothy J. Lee
- 1999年 Peter Gill
- 2000年 Jiali Gao
- 2001年 Martin Kaupp
- 2002年 Jerzy Cioslowski
- 2003年 Peter Schreiner
- 2004年 Jan Martin
- 2005年 Ursula Roethlisberger
- 2006年 Lucas Visscher
- 2007年 Anna Krylov
- 2008年 Kenneth Ruud
- 2009年 Jeremy Harvey
- 2010年 Daniel Crawford
- 2011年 Leticia González
- 2012年 Paul Ayers
- 2013年 Leticia González
- 2014年 Denis Jacquemin
- 2015年 Edward Valeev
- 2016年 Johannes Neugebauer
- 2017年 Francesco Evangelista
- 2018年 Erin Johnson
- 2019年 前田理
- 2020年 Alexandre Tkatchenko
- 2021年 Edit Mátyus
- 2022年 Katharina Boguslawski
- 2023年 Thomas Jagau
- 2024年 Alexander Sokolov
ディラック・メダル記念講座
ディラック・メダル記念講座(The Dirac Medal and Lecture)は年に1度、著名な理論物理学者を招いてニューサウスウェールズ大学で行われる講座。この記念講座は1979年に始まり、講演者には銀メダルが授与される。
受賞者
関連項目
外部リンク