テス・ジェリッツェン (Tess Gerritsen 、1953年 6月12日 - )は、中国系アメリカ人 の小説家 で、元医師 [ 1] 。本名はテリー (Terry ) だが、ロマンス小説作家を目指す時により女性的な名前にしようとテスと改めた[ 2] 。テレビドラマ『リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線 』の原作・脚本として知られている。
生い立ち
カリフォルニア州 サンディエゴ で、中国 移民と中国系アメリカ人の料理人の間に生まれ、『ナンシー・ドルー 』のような物語を書いてみたいと夢見ながら育った[ 3] 。ジェリッツェン本人は作家志望だったが、将来を心配した家族は医学の道を進めた[ 4] 。1975年 、スタンフォード大学 で人類学 の学士 を取得して卒業[ 5] 。カリフォルニア大学サンフランシスコ校 でも医学の勉強を続け[ 4] 、1979年 に博士号 を取得し、ハワイ のホノルル で医師としてのキャリアをスタートさせた[ 6] [ 7] 。
産休 中に、雑誌『ホノルル』の州コンテストに応募した短編小説"On Choosing the Right Crack Seed" が第一席となり賞金500ドルを受け取った[ 6] [ 8] 。母親との関係に悩む若い青年の物語で、母が自殺未遂を繰り返したことなども含めた、彼女自身の子供時代の出来事が描かれている[ 6] 。
作家としてのキャリア
仕事の合間に読んでいたロマンス小説にインスパイアされ、処女作であるロマンス・スリラーものを上梓する[ 6] 。2作の習作を経て、1986年 にハーレクイン社 が『真夜中に電話が鳴って』(原題:"Call After Midnight" )の版権を買い、翌年に刊行される[ 9] 。その後、同社とハーパー・ペーパーバック に8冊のロマンス・スリラー小説を執筆した[ 6] 。
ジャンルの変更
サイン中のジェリッツェン
ロマンス小説から医療スリラーものへと執筆ジャンルを変更し、1996年 、『命の収穫』(原題:"Harvest" )を上梓[ 9] 。ロシア を旅行していた殺人課の元刑事から、モスクワ 市街から孤児の子供たちが消えていき、子供たちは臓器提供者として海外へ連れ去られているというまことしやかな話を警察も信じていると聞き、そこからインスピレーションを得てプロットを練ったという[ 10] 。同作はジェリッツェンの著作の中で初めてハードカバー で出版された作品で、また『ニューヨーク・タイムズ 』のベストセラー・リストの13位にランクインした[ 11] 。『命の収穫』に続き、『中間生命体』(原題:"Life Support" [ 12] )、"Bloodstream" [ 13] 、"Gravity" [ 14] と、医療スリラーものを3作続けて上梓し、いずれもベストセラーになった。
2001年 、殺人課の刑事ジェーン・リゾーリの初登場作品で、初の犯罪スリラー小説となる『外科医』(原題:"The Surgeon " )が刊行される。リゾーリは同作の中では2番手のキャラクターだが、9作あるシリーズでは検死官のモーラ・アイルズとコンビを組む主人公となっている[ 15] 。シリーズは、『リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線 』として、アンジー・ハーモン とサッシャ・アレクサンダー 主演でテレビドラマ 化された[ 16] 。
近年の著作はリゾーリ&アイルズシリーズが多いが、2007年 にはシリーズ外の歴史スリラー"The Bone Garden " を上梓。同作は、1830年代 にボストン で起こった殺人事件の物語で、オリバー・ウェンデル・ホームズ をモデルとしたキャラクターが登場する[ 17] [ 18] 。
著作は40か国以上で翻訳されており、2500万部を売り上げている[ 15] 。
その他の作品
1993年 にケイト・ジャクソン とブルース・グリーンウッド 主演でCBS で放送された"Adrift" では、共同脚本家を務めた[ 19] 。
アメリカ探偵作家クラブ と国際スリラー作家協会 が発行した本にエッセイを寄稿した。また、自身のウェブサイトや探偵作家クラブのサイトでブログを書いている。
2012年 にフランス人 作曲家、ダミアン・トップ が発表したヴァイオリン ソロ曲"Yakov's Lament" はジェリッツェンの著作『命の収穫』にインスパイアされて作曲された作品である。
私生活
夫は同じく医師で、息子が2人いる[ 20] 。趣味はガーデニング やフィドル (ヴァイオリン)の演奏。メイン州 カムデン (英語版 ) 在住[ 3] [ 21] 。
受賞
2002年 、『外科医』でアメリカロマンス作家クラブ (英語版 ) のRITA賞最優秀ロマンティックサスペンス部門を受賞[ 22] 。
2006年 、『僕の心臓を盗まないで』(原題:"Vanish" )でネロ・ウルフ賞 を受賞[ 23] 。同作はエドガー賞 長編賞 やマカヴィティ賞 長編賞にノミネートされた[ 24] [ 25] 。作家のジェイムズ・パターソン (英語版 ) やスティーヴン・キング などからも認められており、特にキングはマイケル・クライトン に勝るとも述べている。
作品リスト
ロマンティック・サスペンス
真夜中に電話が鳴って Call After Midnight ( 1987年 / 2007年11月 秋津志麻 訳 MIRA文庫)
追憶の扉 Under the Knife ( 1990年 / 1991年6月 飛田野裕子 訳 ハーレクイン・サスペンス・ロマンス)
Never Say Die (1992)
Whistleblower (1992)
Presumed Guilty (1993)
Peggy Sue Got Murdered (1994) re-released as Girl Missing
In Their Footsteps (1994)
Thief of Hearts (1995) re-released as Stolen
Keeper of the Bride (1996)
Perfect Timing (2001)
Murder and Mayhem (2006)
Madame X (2008)
Playing with Fire (2015)
The Shape of Night (2019)
医療スリラー
命の収穫 Harvest ( 1996年 / 1997年6月 浅羽莢子 訳 角川文庫 )
中間生命体 Life Support ( 1997年 / 1999年3月 浅羽莢子訳 角川書店 )
Bloodstream (1998)
Gravity (1999)
The Bone Garden (2007)
Girl Missing (2009)
リゾーリ&アイルズ シリーズ
外科医 The Surgeon ( 2001年 / 2003年8月 安原和見 訳 文春文庫 )
白い首の誘惑 The Apprentice ( 2002年 / 2007年3月 安原和見訳 文春文庫)
聖なる罪びと The Sinner ( 2003年 / 2007年9月 安原和見訳 文春文庫)
Body Double (2004)
僕の心臓を盗まないで Vanish ( 2005年 / 2001年1月 浅羽莢子訳 角川文庫)
The Mephisto Club (2006)
The Keepsake / Keeping the Dead (US / UK, 2008)
Ice Cold / The Killing Place (US / UK, 2010)
The Silent Girl (US / UK, 2011)[ 26]
Last To Die (UK / US August 16 / 28, 2012)[ 27]
Die Again (2014)
I Know A Secret (2017)
出典
外部リンク