スティール・ギター(英語: steel guitar)は、専用のバーを用いてスライド演奏するギターの一種でスチールギターとも言う。ギターを水平に置いたようなフォルムをしており、バーで弦を押さえ、サムピックとフィンガーピックで弾いてスライド演奏する。バーを指に挿して使うボトルネック奏法やスライドギターと呼ばれるものとはギターを構える向きが異なるため区別されている。ハワイアン、カントリーを中心に、ブルース、ブルーグラス、ジャズ、POPS等のジャンルで使われている。ギターを正面に構えて持つ一般的な奏法に比べて演奏が難しいと言われている。
膝の上に載せる小型のタイプはラップ・スティール・ギター(lap steel guitar)と呼ばれる。ペダル、ニーレバー(膝レバー)で音程を調整するベンド機構を備えた大型のスタンドタイプをペダルスティール・ギター(pedal steel guitar)という。
元々はリゾネーター・ギターなどのアコースティック・ギターを水平に置いて演奏したのが始まりといわれ、19世紀後半から20世紀にかけてハワイで広まった。ハワイアンやカントリーの主要楽器として広く使用され、簡素なラップスティールから、コンソールタイプ、ダブルネック、トリプルネックへと発展していった。ペダルスティールに至っては複雑な機構を備え、幅広いジャンルの演奏に対応できるようになった。エレクトリック・ギターと同様にピックアップがあり、アンプにつないで音を出す仕組みのエレキ仕様と、アコースティック仕様のスチールギターがある。
弦の数は6弦、8弦、10弦、12弦などがあり、チューニングは演奏する曲のジャンルや演奏者ごとに異なる。ネックが2本のダブルネックもあり、それぞれのチューニングを使い分けることで各種のジャンルに対応できるようになっている。
日本ではハワイアン音楽の分野で広く使われ、ペダル・スティール・ギタータイプやスタンド型のラップ・スティール・ギタータイプを主に用いた。先駆者バッキー白片率いる戦前のアロハ・ハワイアンズ(その後バッキー白片とアロハ・ハワイアンズ)、その門下にあたる和田弘とマヒナスターズの和田弘、大橋節夫とハニーアイランダースの大橋節夫、その門下にあたるダニー飯田とパラダイス・キングのダニー飯田が有名、ザ・スパイダースの大野克夫もその初期と、以前在籍したゲイリー石黒&サンズ・オブ・ザ・ウエストで担当した[3]。小坂忠とFour Joe Half、はちみつぱいで活動した駒沢裕城は、数多くのレコーディングに参加している。また、高田漣、尾崎博志、ジョージ上川もスティールを使用している。LITTLE TEMPO、Lonesome Strings、玄学二重奏、KIRINJI (2014-2020)などで活動する田村玄一は、ハワイアン/エキゾチカの影響下に留まらない現代的奏法を駆使する。
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