サンパウロ・ビエンナーレ(Bienal Internacional de Artes de São Paulo)は、ブラジルのサンパウロ市で開催されている現代美術の大規模国際展覧会。2年に1度、世界中から招待された美術家らがサンパウロ市内の会場で作品を展示するもので、ヴェネツィア・ビエンナーレ(イタリア)やドクメンタ(ドイツ)と並ぶ世界の重要な国際美術展のひとつである。
サンパウロ・ビエンナーレを創設したのは、ブラジルの美術や演劇を支援してきたイタリア系ブラジル人実業家、シッシロ・マタラッツォ(Ciccillo Matarazzo, 本名 Francisco Antônio Paulo Matarazzo Sobrinho, 1898年-1977年)である。
当時サンパウロではサンパウロ美術館(Masp, 1947年)、サンパウロ近代美術館(MAM/SP, 1948年)、ヴェラクルス映画社(Companhia Cinematográfica Vera Cruz, 1949年-1954年)、テアトロ・ブラジレイロ・デ・コメディア(Teatro Brasileiro de Comédia, 1948年-1964年)など芸術の拠点となる組織が次々と作られ、ブラジル文化は活況を呈していた。このうちサンパウロ美術館以外の3つの設立を支援したシッシロ・マタラッツォはヴェネツィア・ビエンナーレのような国際美術展も構想し、1951年10月20日にエスプラナーダ・ド・トリアノン(現在はサンパウロ美術館が建っている場所)で第1回サンパウロ・ビエンナーレを開催した。この展覧会はサンパウロ近代美術館の主催で、ヴェネツィア・ビエンナーレと同じく国別展示を行った。23か国が招待されており(日本は第1回から参加し、世界の美術界への復帰の第一歩を踏み出した)、20世紀美術の様々な運動を紹介する企画展も同時に行われた。ブラジルやラテンアメリカの美術家が世界に紹介されたほかブラジル国外からはパブロ・ピカソ、アルベルト・ジャコメッティ、ルネ・マグリット、ジョージ・グロスらが出展し、そのほか戦後の新しい美術の動向を担う美術家たちが参加した。