コキツネノボタン(学名: Ranunculus chinensis)は、キンポウゲ科キンポウゲ属の二年草から多年草である[2][3]。
特徴
根茎は短く、多数の白色のひげ根を出す。茎は直立して高さ25 - 60 cmになり、円柱形で中空、開出毛が生え、上部でよく分枝する。根出葉は1 - 3個、葉身は広卵形になり、長さ幅ともに3.5 - 9 cm、1 - 2回3出複葉で、裂片は深裂して幅2 - 4 mmの卵形の鋸歯になり、先は鋭突頭、両面に伏毛が生える。葉柄は長さ8 - 15 cmになり、開出毛が密に生える。茎葉は3全裂から3深裂し、下部の茎葉に長い葉柄があり、上部にいくにしたがって短くなり、最終的に無柄になる。茎葉は上部にいくにしたがって小さくなり、上部の葉は単葉になる[2][3][4]。
花期は5月から6月。数個が集散状花序につき、花は径0.8 - 1.0 cmの鮮黄色で、花柄は長さ1.5 - 2.5 cmあり、開出毛が生える。萼片は5個、卵形で長さ3 mm、幅1 - 2 mm、舟形で、背面に長い伏毛があり、反曲する。花弁は5個で平開し、倒卵状楕円形で、長さ4 mm、幅2 mm、蜜腺は径0.5 mmでコップ状になり、長さ0.5 mmほどになる付属体がある。雄蕊は多数あり、葯は長さ1 mmになる狭倒卵状楕円形で、花糸は糸状になる。雌蕊も多数ある。果実は倒卵状円柱形から倒卵状の集合果で、長さ9 - 13 mm、径7 - 8 mmになり、果托に開出毛が生える。痩果は卵状で、長さ3 mm、扁平で無毛で平滑、周囲に縁取りがあり、嘴は長さ0.5 mmあり、太く斜上する。染色体数は2n = 16[2][3][4]。
茎葉は同属のオトコゼリ R. tachiroei に、集合果は同属のタガラシ R. sceleratus に似るが、オトコゼリの集合果はほぼ球形、痩果の嘴は長さ1.5 mmと長く、タガラシの葉の裂片の先はとがらない[3][4]。
分類
The Plant Listでは、本種 R. chinensis は、ケキツネノボタン R. cantoniensis のシノニムとされている[5]。
分布と生育環境
日本では、北海道(西南部)、本州、四国、九州に分布し、河原や沼畔の草地、日当たりのよい湿地などに生育する[2][3]。平野部の湿地に集中して分布し、攪乱地を好む[4]。世界では、朝鮮半島、中国大陸、シベリア、モンゴル、タイ、インドなどアジア東部、南部に広く分布する[3]。
名前の由来
和名コキツネノボタンは、「小狐の牡丹」の意[2]。同属のキツネノボタン R. silerifolius(広義)に比べて、葉の裂片が細く、各部がやや細く小型であることからいう[2][6]。牧野富太郎 (1890) による命名である[1][6]。
種小名(種形容語)chinensis は「中国」の意味[7]。
保全状況評価
絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
(2019年、環境省)
ギャラリー
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花弁は鮮黄色。
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集合果は倒卵状円柱形から倒卵状になる。
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茎と茎葉の葉柄に開出毛が生える。
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中部の茎葉。3全裂し、先端はとがる。
脚注
参考文献