コイバ国立公園と その海洋特別保護地域 (パナマ )
英名
Coiba National Park and its Special Zone of Marine Protection 仏名
Parc national de Coiba et sa zone spéciale de protection marine 面積
430,825 ha 登録区分
自然遺産 IUCN分類
II(国立公園) 登録基準
(9), (10) 登録年
2005年 公式サイト
世界遺産センター (英語) 使用方法 ・表示
コイバ島の外観
公園内のバーバーフィッシュ (英語版 )
公園内のクモウツボ (英語版 )
公園内のブラックストライプセイラマ (英語版 )
コイバ島 (Coiba )は中央アメリカ 最大の島で、パナマ のベラグアス県 の太平洋 岸沖合いにある。周辺の豊かな海洋生態系に特色があり、国立公園 になっていると同時に、ユネスコ の世界遺産 リストにも登録されている。
歴史
コイバ島がパナマ 本土から切り離されたのは、海面が上昇した18000年前から12000年前頃のことであった。新しい島の動植物は、本土の集団から切り離されてしまい、外見的にも性質の面でも、本土の動植物とは分岐していった。その結果、コイバ島はコイバホエザル (英語版 ) (Alouatta coibensis )、コイバアグーチ (英語版 ) (Dasyprocta coibae )、コイバアカオカマドドリ (英語版 ) (Cranioleuca dissita )などの固有種 の宝庫になっている。
コイバ島ではアメリカ先住民 のカシケ (Coiba Cacique)たちが1560年頃まで暮らしていたが、スペイン人 たちに征服され、奴隷にされた。
1919年には島に流刑地 としての施設群が建設された。オマル・トリホス やマヌエル・ノリエガ の独裁 政権時代には、コイバの監獄は残忍な境遇、酷い拷問 、政治犯 の処刑といった悪評によって、パナマ人の恐怖の的だった。この時期にどれだけの人間が犠牲になったのかは正確には分からないが、資料などからは300人前後だったと考えられている。このため、パナマ本土の住民には「悪魔の島」(La Isla del Diablo)として忌避され、監獄閉鎖後も全く開発されなかった。
保護地域
コイバ島は1992年 に国立公園になった。監獄島として機能していたために開発からは取り残されたが、2004年 の監獄閉鎖後は、かえって理想的な自然保護区となった。コイバ島は、中央アメリカでは数少ない、コンゴウインコ の野生種の大群が見られる場所になっている。また、ヒメオウギワシ (英語版 ) なども生息している[ 1] 。
島の75%は熱帯太平洋地域の湿潤林で[ 1] 、そこには原始林 も多く含まれている。この島には、ここでしか見られない稀少な植物種も生育しており、パナマ本土では森林破壊 や過剰伐採で姿を消してしまった3種の植物も残っている。
コイバ島周辺の海域は南北アメリカ州の太平洋沿岸で最大級のサンゴ礁 に囲まれており、遠海魚 (英語版 ) 、海洋哺乳類 などの多くの海洋生物を育んでいる[ 1] 。チリキ湾 (スペイン語版 ) を流れる海流 は、独特の海中環境を生み出していて、その暖流はサンゴ礁と太平洋の熱帯性の海洋生物を育んでいる。熱帯性の海洋生物は、通常のアメリカ大陸太平洋岸では予期しないものである。暖流に乗って、ザトウクジラ 、シャチ などの鯨類 、ジンベイザメ などのサメ 等の比較的大型の魚類 や海洋哺乳類、そしてウミガメ もやってくる[ 1] 。コイバ島周辺の海洋環境は、ココス海嶺 (英語版 ) でココ島 (コスタリカ)やガラパゴス諸島 (エクアドル)周辺の海洋環境とも繋がっている。
2005年6月にはユネスコの世界遺産リストに登録された。登録総面積は430,825 haである。内訳はコイバ国立公園 270,125 ha(うち海域 216,500 ha)、海洋保護特別地域 160,700 ha である[ 2] 。
登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準 のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター 公表の登録基準 からの翻訳、引用である)。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
脚注
関連項目
外部リンク
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