クラスハ(ロシア語: Красуха、ベラドンナという意味)は、ロシアの移動式地上ベースの対空電子戦(EW)システム(電波妨害装置)である。このシステムは、KRET(コンツェルン無線電子技術(英語版))によって様々な装輪式プラットフォームで生産されている[1][2]。
クラスハの主な標的は、空中無線電子機器(UAVなど)とレーダー誘導式空中システムである。ロシア連邦軍で複数の用途に使用されている[3]。
クラスハ-2
クラスハ-2は、最大250キロメートル (160 mi)の範囲でAWACSの電子妨害を目的としている[3][4]。クラスハ-2は、レーダー誘導ミサイルなど他の空中レーダーの妨害も可能である。
一度妨害されたミサイルは、元の目標から離れた偽の標的を狙い、もはや脅威ではなくなる。9K720 イスカンデル(SRBM)のような優先度の高い移動式目標を守る。
クラスハ-4
クラスハ-4は、BAZ-6910-022(英語版)の4軸シャーシに搭載された広帯域多機能妨害局である。クラスハ-4は、クラスハ-2と同様にAWACSや他の空中レーダーシステムに対抗する。
クラスハ-4は、低軌道(LEO)衛星の妨害に有効な範囲を持ち、標的の無線電子機器に永続的な障害を与えられる[2][5]。地上ベースのレーダーもまた、クラスハ-4の実行可能な標的である[1]。
運用国
運用履歴
クラスハ電波妨害装置は、シリアのロシア軍の支援に配備されたと報告されている[9]。アメリカ合衆国の小型偵察無人航空機のGPS衛星信号の受信を妨害したという[10]。
2018年7月、OSCEの監視用ドローンは、ウクライナのチョルヌクヒネ(英語版)付近に配備された他の電子戦機器の中で1L269 クラスハ-2を記録した[11]。
2022年3月、ロシアによるウクライナ侵攻において、クラスハ-4が首都キーウ近くの森林でウクライナ側に鹵獲されたという[12]。
今後アメリカ軍に引き渡され、システム詳細が解析される予定とされている[13]。
脚注
関連項目