カウンティング・クロウズ (Counting Crows ) は、1991年 にアメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンフランシスコ で結成されたロック バンド 。アダム・デュリッツを中心として作曲される歌は、平凡な人生で感じる想いが題材とされることが多い。
略歴
バンド結成期
アダム・デュリッツ
サンフランシスコ・ベイエリア のローカル・バンドであるヒマラヤンズのボーカルであるアダム・デュリッツと、プロデューサー兼ギタリストのデヴィッド・ブライソンで、1991年にサンフランシスコ でカウンティング・クロウズを結成した[ 1] 。カウンティング・クロウズは最初のうちはアコースティック ・デュオであり、バークレー やサンフランシスコの周辺でギグ を行った。時々、彼らの友人のギタリストであるデヴィッド・イマーグルック(後に正式メンバーとなる)や、地元の他のミュージシャンも参加した。それらのミュージシャンがこのバンドに参加したことにより(イマーグルックは他のバンドのメンバーを務めていたため、カウンティング・クロウズ加入は辞退した[ 2] )カウンティング・クロウズはデュオからフル・バンドへ転換し、デモ をいくつか録音した。
1993年までに、バンド・メンバーは次のように固定された。デュリッツがボーカル と時々ピアノ 、そして主なソングライター を担当し、ブライソンがギター 、マット・マリーがベース 、チャールス・ギリングハムがキーボード 、スティーヴ・ボウマンがドラムス である。同じ年、バンドはゲフィン・レコード と契約した。1993年1月16日、このバンドはまだ無名だったにもかかわらず、ロックの殿堂 のセレモニーでヴァン・モリソン の代役として出席し、ロビー・ロバートソン から熱心に紹介された。セレモニーでは、バンドはヴァン・モリソンの「キャラヴァン 」を演奏した[ 3] 。
『オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター』
ダン・ヴィッカリーとデヴィッド・ブライソン
カウンティング・クロウズは最初からライブでのパフォーマンスを重視した。そして、1993年の後半にT・ボーン・バーネット がプロデュースした1stアルバム『オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター』を発表した。1stシングルの「ミスター・ジョーンズ」(Mr. Jones) は、デュリッツの幼馴染のマーティ・ジョーンズ(ヒマラヤンズのベーシスト)とケニー・デール・ジョンソン(クリス・アイザック のバンドであるシルヴァーストーンのドラマー[ 4] )をモデルにしたもので、彼らのビッグになりたいミュージシャンの夢をデュリッツは楽しんで歌った。しかし、その数ヵ月後となる1993年12月[ 5] にMTV がこの曲のビデオを再生し始めたことをデュリッツは知らなかった。そして予想外の大ヒットとなり、バンドを一躍スターダムにのしあげた。『オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター』はニルヴァーナ の『ネヴァーマインド 』以来の最速で売れたアルバムとなった[ 6] 。このアルバムは700万枚も売れたが、この成功がバンドに被害をもたらした。ドラマーのスティーヴ・ボウマンはバンドを去り[ 7] 、デュリッツは神経衰弱で苦しむことになった[ 8] 。
『リカヴァリング・ザ・サテライツ』と『ディス・デザート・ライフ』
1995年はバンドはギグを2回のみこなし、デュリッツは2ndアルバム『リカヴァリング・ザ・サテライツ』に入る楽曲の制作を行った[ 8] 。1996年10月15日に発表されたこのアルバムでは、1994年前半からバンドに参加していたセカンド・ギタリストのダン・ヴィッカリーがバンド・メンバーに追加された。「ミスター・ジョーンズ」がもたらせた突然の人気に対する不安を、このアルバムに収録された「Have You Seen Me Lately?」や「Recovering the Satellites」で歌っている。このアルバムは「人気によって破壊された家族や社会生活、心を元通りにしようとするためのお粗末なコンセプト・アルバム」と評された[ 8] 。
1997年7月、デュリッツは声帯を痛めてしまい、いくつかのギグをキャンセルした。そして回復させるためしばらく休んだ後、ニューヨーク のハマースタイン・ボールルーム でライブを行った。このコンサートの模様が、2枚組ライブ・アルバム『アクロス・ア・ワイアー / ライヴ・イン・ニューヨーク』として、1998年6月に発表された。
1999年、カウンティング・クロウズはウッドストック 1999 で演奏した[ 9] 。同じ年、バンドはアルバム『ディス・デザート・ライフ』を発表し、その収録曲の「Hanginaround」と「Colorblind」は映画『クルーエル・インテンションズ 』でも使用された。また、このアルバム発表後で、アルバムのためのツアーの前に、長年の友人デヴィッド・イマーグルックがバンドの正式メンバーとなった。
『ハード・キャンディ』とベスト盤
ミラード・パワーズ
2002年7月9日、バンドは4枚目のスタジオ・アルバム『ハード・キャンディ』を発表した。このアルバムにはジョニ・ミッチェル の楽曲「Big Yellow Taxi」のカバーも収録されている。その曲はヴァネッサ・カールトン がシングル・エディットでバック・ボーカルとして参加し、映画『トゥー・ウィークス・ノーティス 』のサウンドトラックに収録されている[ 10] 。
『ハード・キャンディ』のツアー中、ドラマーのベン・マイズは家族との時間を過ごすためバンドを脱退した。そして、新たなドラマーには、ベン・フォールズ やシェリル・クロウ のドラマーをつとめたジム・ボギオスが加入した[ 11] 。ツアー終了後、長年ベーシストをつとめたマット・マリーがバンドを去り、代わりにミラード・パワーズが加入した。
カウンティング・クロウズは、ベスト・アルバムである『Films About Ghosts (The best of...)』を2003年11月に発表した。
2004年にはアニメーション映画 『シュレック2 』のサウンドトラックに、楽曲「Accidentally in Love」を提供した。この曲はアカデミー賞 にノミネートされて演奏が行われた[ 12] [ 13] 。
2006年以降
2006年6月、バンドは2ndライブ・アルバム『New Amsterdam: Live At Heineken Music Hall 2003』を発表した。このアルバムは2003年に行われた『ハード・キャンディ』のツアーでのライブを録音したものだった。
2008年3月25日にスタジオ・アルバム『Saturday Night, Sunday Morning』を発表した[ 14] 。
2009年3月に、デュリッツはバンドがゲフィン・レコードから離れたことをホームページ上で発表した。
メンバー
現在のメンバー
チャールス・ギリングハム
アダム・デュリッツ (Adam Duritz) - ボーカル 、ピアノ (1991年-現在)
デヴィッド・ブライソン (David Bryson) - ギター (1991年-現在)
チャールス・ギリングハム (Charles Gillingham) - キーボード 、アコーディオン (1992年-現在)
ダン・ヴィッカリー (Dan Vickrey) - ギター (1994-現在)
デヴィッド・イマーグルック (David Immerglück) - ギター、マンドリン 他 (1999年-現在)
加入以前からバンドの活動に参加していたが、契約の都合上スタジオでのみの参加。1999年に正式なメンバーとなった。
ジム・ボギオス (Jim Bogios) - ドラムス (2002年-現在)
ミラード・パワーズ (Millard Powers) - ベース 、ピアノ (2005年-現在)
マットの脱退によりサポートベーシストとして加入。2008年の集合写真に写っているため、正式メンバーになったようだ。
旧メンバー
スティーヴ・ボウマン (Steve Bowman) - ドラムス (1992年-1994年)
ベン・マイズ (Ben Mize) - ドラムス (1994年-2002年)
マット・マリー (Matt Malley) - ベース (1992年-2005年)
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
年
タイトル
アルバム 詳細
チャート最高位
認定
US [ 15]
AUS [ 16]
BEL [ 17]
CAN[ 18]
GER [ 19]
IRE[ 20]
NLD[ 21]
NZ [ 22]
SWE [ 23]
UK [ 24]
1993
オーガスト・アンド・エヴリシング・アフターAugust and Everything After
4
12
—
2
56
24
58
12
22
16
1996
リカヴァリング・ザ・サテライツRecovering the Satellites
発売日: 1996年10月14日
レーベル: ゲフィン
フォーマット: CD、LP、カセット
1
7
21
7
40
—
54
4
6
4
1999
ディス・デザート・ライフThis Desert Life
発売日: 1999年11月1日
レーベル: ゲフィン
フォーマット: CD、LP、カセット
8
20
26
7
36
56
21
19
20
19
2002
ハード・キャンディHard Candy
発売日: 2002年7月8日
レーベル: ゲフィン
フォーマット: CD
5
13
14
—
28
4
10
15
19
9
2008
Saturday Nights & Sunday Mornings
発売日: 2008年3月24日
レーベル: ゲフィン
フォーマット: CD、音楽配信
3
22
31
8
57
28
5
36
32
12
2012
Underwater Sunshine (or What We Did on Our Summer Vacation)
11
—
40
—
—
46
11
—
—
23
2014
Somewhere Under Wonderland
6
27
27
10
56
13
12
—
—
15
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。
ライブ・アルバム
『アクロス・ア・ワイアー - ライヴ・イン・ニューヨーク』 - Across A Wire: Live In New York City (1998年 )
New Amsterdam: Live At Heineken Music Hall 2003 (2006年 )
iTunes Live from SoHo (2008年 )
『オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター - ライヴ・アット・タウン・ホール』 - August and Everything After: Live at Town Hall (2011年 )
1stアルバムの再現ライブを収めたライブ盤。DVD付バージョンも発売。
Echoes of the Outlaw Roadshow (2013年 )
コンピレーション・アルバム
Films About Ghosts (The Best Of...) (2003年 )
未発表曲2曲も収録された16曲入りベスト・アルバム。
2004年 にはアニメーション映画 『シュレック2 』のテーマ曲のシングル「Accidentally In Love」を加えたバージョンが発売された。
既発表のアルバムから選ばれた6曲入りベストEP。
その他
サントラ未収録曲「Baby, I'm A Big Star Now」を提供。シングル「Hanginaround」、アルバム『Saturday Night, Sunday Morning』(UK盤)に収録されている。
「Accidentally In Love」がサントラに収録されている。
脚注
^ Sounds of Success . Toledo Blade . 1999年7月16日。
^ Farley, Mike (2003年). “Interview with David Immergluck of Counting Crows” . Bullz-Eye.com. http://www.bullz-eye.com/concertreviews/david_immergluck-interview.htm 2007年3月1日 閲覧。
^ “Adams Blog ”. countingcrows.com. 2009年10月23日 閲覧。
^ “Interview with Drummer Kenney Dale Johnson” . Blogcritics Magazine. http://blogcritics.org/archives/2007/06/17/090942.php 2007年6月17日 閲覧。
^ “The Biggest New Band In America” . Rolling Stone. (1994年6月30日). オリジナル の2006年11月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20061115214844/http://www.monmouth.com/~jkochel/crows/articles/rolling.html 2007年3月1日 閲覧。
^ Greenstreet, Rosanna (2003年2月15日). “Q&A: Adam Duritz” . The Guardian. http://www.guardian.co.uk/weekend/story/0,,894644,00.html 2007年3月1日 閲覧。
^ “Steve Bowman – About Steve” . stevethedrummer.com. オリジナル の2007年2月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070228124158/http://www.stevethedrummer.com/about.php 2007年3月1日 閲覧。
^ a b c Strauss, Neil (1996年10月15日). “Stars Come Out From Under” . The New York Times. https://www.nytimes.com/1996/10/15/arts/stars-come-out-from-under.html 2007年3月1日 閲覧。
^ Farber, Jim. WOODSTOCK: HURTS SO GOOD LOUD BANDS, MELLOW FANS & THE JOY OF MISERY . New York Daily News . 1999年7月26日。
^ [1] “David Immergluck on mandolin replaced Vanessa Carlton's backup vocals on that...”
^ “Counting Crows are Riding High” . Vox.com. (2002年12月11日). http://www.voxonline.com/alternative/countingcrows/index.htm 2007年4月22日 閲覧。
^ “Counting Crows” . IMDB. https://www.imdb.com/name/nm1628702/ 2007年3月1日 閲覧。
^ Mar, Alex (2005年1月25日). “Crows Nab Oscar Nom” . RollingStone.com. http://www.rollingstone.com/artists/countingcrows/articles/story/6862727/crows_nab_oscar_nom 2007年3月1日 閲覧。
^ “Saturday Nights And Sunday Mornings ”. Amazon.ca. 2009年5月9日 閲覧。
^ “US Albums ”. Billboard . August 18, 2016 閲覧。
^ Australian (ARIA Chart ) peaks:
^ “Belgian (Flanders) chart peaks ”. ultratop.be. August 18, 2016 閲覧。
^ Canadian Albums:
^ German albums:
^ “Irish chart peaks ”. irish-charts.com. August 18, 2016 閲覧。
^ “Dutch chart peaks ”. dutchcharts.nl. August 18, 2016 閲覧。
^ “New Zealand chart peaks ”. charts.org.nz. August 18, 2016 閲覧。
^ “Swedish chart peaks ”. swedishcharts.com. August 18, 2016 閲覧。
^ “UK chart peaks ”. Official Charts Company. August 18, 2016 閲覧。
^ a b c d “US Certification ”. RIAA . August 7, 2016 閲覧。
^ a b Ryan, Gavin (2011). Australia's Music Charts 1988-2010 . Mt. Martha, VIC, Australia: Moonlight Publishing
^ a b c “Canadian Certification ”. Music Canada. August 18, 2016 閲覧。
^ “New Zealand Certification - "August and Everything After" ”. Recorded Music NZ. August 18, 2016 閲覧。
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^ “ARIA Accreditations - 2003 Albums ”. Australian Recording Industry Association . January 25, 2012時点のオリジナル よりアーカイブ。December 19, 2010 閲覧。
^ “New Zealand Certification - "Hard Candy" ”. Recorded Music NZ. August 18, 2016 閲覧。
^ Caulfield, Keith (September 10, 2014). “Maroon 5 Tops Billboard 200 With 'V' ”. Billboard . Prometheus Global Media. September 10, 2014 閲覧。
外部リンク