『エジプト・ステーション 』(英語 : Egypt Station )は、2018年9月7日 (2018-09-07 ) に発売されたポール・マッカートニー の通算17作目のアルバム 。
解説
オリジナル・アルバムとしては、2013年発売の『NEW 』以来5年ぶりのリリース。同時に古巣となるキャピトル・レコード への再移籍後初のアルバムとなる[ 13] 。
アートワークに使用されたイラストは、1988年にマッカートニーによって描かれたもので、アルバム・タイトルはこのイラストと共鳴している[ 13] [ 1] [ 14] 。マッカートニーはアルバム・タイトルについて「すごく気に入っている言葉で、僕らがかつて作っていたアルバムを思いおこさせる。本作は1曲目の駅から出発し、楽曲それぞれが違う駅のような感じ。そのアイデアが収録曲全ての原型になっている。それは音楽が織りなす夢のような場所だと思っている。」とコメントしている[ 15] [ 1] 。
本作のレコーディングは、ロサンゼルス とロンドン 、サセックス のスタジオにて行なわれた[ 1] 。本作は、主にグレッグ・カースティン とマッカートニーの共同プロデュースだが、1曲のみライアン・テダー によるプロデュースとなっている[ 1] 。収録曲のうち、「バック・イン・ブラジル 」はサンパウロ に所在するKLBスタジオで録音された[ 16] 。
本作からの第1弾シングルとして両A面シングル「アイ・ドント・ノウ / カム・オン・トゥ・ミー 」を2018年6月20日 に発売された[ 17] [ 18] 。その後、「ファー・ユー 」、「フー・ケアズ 」もシングル盤として発表されている。2019年 1月1日 にはシングル 「ゲット・イナフ 」が発表され、本作のエクスプロラーズ・エディションに収録された。
プロモーション
2018年6月10日、マッカートニーは公式Instagram がこれまでの投稿を削除し、突如謎のシンボルを描いた写真[ 19] とさまざまな楽器を演奏する姿を写した写真が投稿された[ 20] 。アルバム・タイトルである「エジプト・ステーション」は、マッカートニーの76歳の誕生日である2018年6月18日に発表された。翌日には両A面シングル「アイ・ドント・ノウ/カム・オン・トゥ・ミー」が6月20日に発売されることがアナウンスされ、同日に本作の発売日やレコーディングに関する情報も発表された[ 1] 。
6月21日にCBS で放送された『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン 』のコーナー「カープール・カラオケ」に出演[ 21] 。その一環としてマッカートニーは、リバプールにあるフィルハーモニック・ダイニング・ルーム (英語版 ) でギグを行ない、「カム・オン・トゥ・ミー」を初めて演奏した。この模様は、シングル盤のリリースに合わせて6月17日 に「When Corden Met McCartney (Live from Liverpool)」と題されて放送された[ 22] 。
7月3日に公式サイト上で、9月17日よりカナダ ・ケベック・シティー を皮切りに「フレッシュン・アップ」ツアーの開始が発表された。
7月19日にマッカートニーは公式Instagramでファンに「来週、あなたがポールが行うロンドンのシークレット・イベントに出席すべき理由は何ですか?(Why do you think you should attend a secret event in London with Paul next week? )」という質問が書かれた画像を投稿し、ファンに対してハッシュタグ「#UnderTheStaircase」を付けてショート・ムービーを投稿することを求めた[ 23] 。この中から選ばれたファンは、多くの有名人が出席したアビー・ロード・スタジオ でのシークレット・ライヴに招待された。この時のセットリストはライヴ初披露となる「カム・オン・トゥ・ミー」「コンフィダンテ」「ファー・ユー」「フー・ケアズ」の4曲で、いずれも本作に収録されている。7月26日には、キャヴァーン・クラブ にて無料ライブが行なわれた[ 24] 。
7月25日にリバプール芸術学校 で「Casual Conversation」と題された講演会が行なわれた。ジャーヴィス・コッカー がモデレーターを務めたこのイベントの模様は、Facebook 上でライブ・ストリーミングされ、視聴者から寄せられた質問に答えた[ 25] 。
8月15日にアルバムからの第2弾シングルとして「ファー・ユー 」がリリースされた。
9月3日に公式YouTube チャンネルで、「Egypt Station – Words Between the Tracks」と題した収録曲の解説動画が公開された。
9月7日に本作の発売を記念し、グランド・セントラル駅 でシークレット・ライヴが開催された。このライヴの模様は、後に公式YouTubeチャンネルで公開された。
本作の発売に先駆け、シングル「アイ・ドント・ノウ」「カム・オン・トゥ・ミー」「ファー・ユー」のリリック・ビデオが公開され、発売後に収録曲「ファー・ユー」「バック・イン・ザ・ブラジル 」「カム・オン・トゥ・ミー」のミュージック・ビデオ が公開された。
チャート・アクション
本作は、2018年9月22日付のBillboard 200 で初登場1位を獲得した[ 10] 。アルバムが全米チャートで1位を獲得したのは、1982年発売の『タッグ・オブ・ウォー 』以来36年ぶりで、通算8作目となる。また、マッカートニーのアルバムが全米チャートで初登場1位を獲得したのは本作が初で、2週目には8位にランクインした[ 10] 。
イギリス では2018年9月14日付の全英アルバムチャート で最高3位[ 11] 、日本 では2018年9月17日付のオリコン 週間アルバムランキングで最高6位を獲得した[ 26] 。
エクスプロラーズ・エディション
2019年5月17日に『エジプト・ステーション (エクスプロラーズ・エディション)』が緊急発売された[ 27] 。
『エジプト・ステーション』の他、『エジプト・ステーションII』と題されたボーナス・ディスクが付属[ 28] 。『エジプト・ステーション』リリース後に発表されたシングル「ゲット・イナフ 」やアビー・ロード・スタジオ やキャヴァーン・クラブ などマッカートニーにゆかりのある場所などで行われたサプライズ・ライブから厳選されたライブ音源4曲などCD初収録となる8曲が追加収録された[ 29] 。3LP、2CDの2形態で発売され、ターゲット 盤や日本盤、ヨーロッパ盤には「ゲット・スターティッド」「ナッシング・フォー・フリー」が追加収録されている。また、3000セット限定でカセットテープ、マッカートニーによる手書きのメモ、地図のイラスト、ラゲージ・ステッカー、リトグラフ、ジグソーパズル、トランプなどの付録がついた「トラベラーズ・エディション」も制作され、5月10日 にリリースされた[ 30] 。こちらには「フランク・シナトラズ・パーティー」「シックスティ・セカンド・ストリート」、「フー・ケアズ」のエクステンデッド・バージョンが含まれている[ 28] 。
ジャケット もオリジナル版から変更され、空が夕方のようになっており、通常盤にはいなかった、ゴースト の姿がある。
収録曲
通常盤 # タイトル 作詞・作曲 時間 1. 「オープニング・ステーション 」(Opening Station) 0:42 2. 「アイ・ドント・ノウ 」(I Don't Know) 4:27 3. 「カム・オン・トゥ・ミー 」(Come On To Me) 4:11 4. 「ハッピー・ウィズ・ユー 」(Happy With You) 3:34 5. 「フー・ケアズ 」(Who Cares) 3:13 6. 「ファー・ユー 」(Fuh You) 3:23 7. 「コンフィダンテ 」(Confidante) 3:04 8. 「ピープル・ウォント・ピース 」(People Want Peace) 2:59 9. 「ハンド・イン・ハンド 」(Hand In Hand) 2:35 10. 「ドミノズ 」(Dominos) 5:02 11. 「バック・イン・ブラジル 」(Back In Brazil) 3:21 12. 「ドゥ・イット・ナウ 」(Do It Now) 3:17 13. 「シーザー・ロック 」(Caesar Rock) 3:29 14. 「ディスパイト・リピーティッド・ウォーニングス 」(Despite Repeated Warnings) 6:58 15. 「ステーションII 」(Station II) 0:46 16. 「ハント・ユー・ダウン/ネイキッド/C-リンク 」(Hunt You Down/Naked/C-Link) 6:22 合計時間:
57:23
ターゲット 盤/日本盤/ヨーロッパ盤# タイトル 作詞・作曲 時間 17. 「ゲット・スターティッド 」(Get Started) 3:41 18. 「ナッシング・フォー・フリー 」(Nothing for Free) 3:15 合計時間:
64:26
エジプト・ステーションII # タイトル 作詞・作曲 時間 1. 「ゲット・スターティッド 」(Get Started) 3:41 2. 「ナッシング・フォー・フリー 」(Nothing for Free) 3:15 3. 「フランク・シナトラズ・パーティー 」(Frank Sinatra's Party) 2:44 4. 「シックスティ・セカンド・ストリート 」(Sixty Second Street) 3:57 5. 「フー・ケアズ (フル・レングス) 」(Who Cares (Full Length)) 5:33 6. 「ゲット・イナフ 」(Get Enough) ポール・マッカートニー ライアン・テダー ザック・スケルトン 2:58 7. 「カム・オン・トゥ・ミー (ライヴ・アット・アビイ・ロード・スタジオ ) 」(Come On To Me (Live At Abbey Road Studios)) 8. 「ファー・ユー (ライヴ・アット・キャヴァーン・クラブ ) 」(Fuh You (Live At The Cavern Club)) 3:35 9. 「コンフィダンテ (ライヴ・アット・LIPA) 」(Hand In Hand) 3:16 10. 「フー・ケアズ (ライヴ・アット・グランド・セントラル・ステーション ) 」(Who Cares (Live At Grand Central Station)) 3:02 合計時間:
32:01
パーソネル
ポール・マッカートニー - リード・ボーカル 、バッキング・ボーカル (#2-14,16)、アコースティック・ギター (#2-5,7-14,16)、キーボード (#2-4,6-14,16)、ベース (#2,4-8,10-14,16)、パーカッション (#2,3,8,10,11,13,14,16)、ドラムス (#2,8,10,12-14,16)、エレクトリック・ギター (#3,8,10,11,14,16)、ハーモニカ (#3)、テープ・ループ (#10)、アシスタント・プロデューサー [ 31]
外部ミュージシャン
グレッグ・カースティン (英語版 ) - プロデューサー 、エンジニア 、編曲 、キーボード(#2,4,8,11,14)、エレクトリック・ギター(#2,3)、メロトロン (#2)、パーカッション(#3,12)、バッキング・ボーカル(#8)、マリンバ (#10)、効果音 (#11)、ヴィブラフォン (#16)
ロブ・ミレット - ツィンバロム (#2,4,10)
ポール・ウィッケンズ (英語版 ) - キーボード(#3,5,13,14)
エイブ・ラボリエル・ジュニア (英語版 ) - ドラムス(#3,5,11,13,14)、パーカッション(#4,12,16)、タック・ピアノ (#4)、バッキング・ボーカル(#5,11,12,13,14,16)
ラスティ・アンダーソン (英語版 ) - エレクトリック・ギター(#3,5,12,13,14,16)、バッキング・ボーカル(#5,12,13,14,16)、アコースティック・ギター(#14)
ブライアン・レイ (英語版 ) - エレクトリック・ギター(#3,5,13,14,16)、ベース(#3)、バッキング・ボーカル(#5,13,14,16)、アコースティック・ギター(#14)
ティム・ルー - チェロ (#3,16)
グレッグ・フィリンゲインズ - ピアノ (#3)
ペドロ・エウスターチェ (英語版 ) - フルート (#4,9,11)、ドゥドゥク (#11)
ライアン・テダー - バッキング・ボーカル(#6)、プログラミング (#6)、アシスタント・プロデューサー(#6)
ザック・スケルトン - プログラミング(#6)、アシスタント・プロデューサー(#6)
イナラ・ジョージ (英語版 ) 、アレックス・パスコ、マット・タグル、コリン・カドレック - バッキング・ボーカル(#8)
バネッサ・フリーバーン・スミス (英語版 ) - チェロ(#8,9)
ジョディ・バーネット - チェロ(#9)
キャロライン・ルジーン、ロイ・ベネット - バッキング・ボーカル(#13)
セッション・ミュージシャン - オーケストラ ・合唱団 (#1-4,6,11,12,14-16)
スパイク・ステント (英語版 ) - ミキシング
スティーブ・オーチャード、モーリシオ・チェルソーシモ、アル・シュミット (英語版 ) 、ビリー・ブッシュ (英語版 ) 、リッチ・リッチ、アレックス・パスコ - エンジニア
脚注
外部リンク
シングル
1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
アルバム
スタジオ ライブ & EP サウンドトラック & カヴァークラシック ベスト その他 ボックス・セット 映像作品
関連項目 関連人物
カテゴリ