4XE1(よんエックスイー ワン)は1986年にいすゞ自動車が開発した1,588cc直列4気筒DOHCガソリンエンジンである。
概要
開発のベースとなったのは薄肉鋳鉄ディープスカートシリンダーブロックとアルミニウムシリンダーを有する4X系エンジン、内径77mm×行程79mmで1,471ccSOHCの4XC1で、DOHC4バルブ化したシリンダーヘッド部分をロータスが設計し、内径を77mmから80mmに変更して1,588ccへ拡大した構造となっている。四輪市販車用ガソリンエンジンでは日本初のクーリング機構付きピストンを採用し、また電子制御二段階バルブ制御弁を用いた可変吸気コントロール機構を備えている。エンジン本体以外でも、4XE1に使用されている燃料噴射装置(インジェクター)は6孔式であり、燃焼効率を極限まで高めている。
製造は、いすゞ自動車北海道工場。
後に補機ベルトをサーペンタイン化し、行程を90mmに延伸して1,809ccに拡大され出力150PSとして開発された4XF1が最終型ピアッツァ(JT221、通称JTピアッツァ)に搭載され、さらに行程を伸ばしてゼネラルモーターズの小型戦略車サターン1.9Lエンジンの開発ベースとなった。
4XE1
1988年2月JT190型二代目ジェミニZZハンドリング・バイ・ロータスに搭載されたのが市販車としてのデビューとなった。鋳造ピストン。ハイドローリックタペット。後に二代目ロータス・エランに搭載された。
- 内径×行程:80mm×79mm
- 排気量:1,588cc[1]
- 出力:130hp/7,200rpm[1] トルク:14.5kgm/4,200rpm[1](二代目ロータス・エラン)
- レギュラーガソリン仕様
4XE1-W
JT191F型三代目ジェミニに搭載される際に最高出力が増強され、可変バルブタイミング機構の付かない自然吸気の1.6Lエンジンとしてしばらくの間市販車最高出力の座を維持した。DOHC、16バルブ、可変吸気システム、鋳造ピストン。ソリッドタペットが採用された。
- 内径×行程:80mm×79mm
- 排気量:1,588cc
- 出力:140PS/7,200rpm トルク:14.5kgm/5,600rpm (JT191F ジェミニ)
- レギュラーガソリン仕様
4XE1-WT
JT191S型三代目ジェミニイルムシャーRに搭載された。一般的には4XE1-Tとされる。DOHCインタークーラーターボ(IHI製RHB52)、16バルブ、可変慣性吸気システム、溶融鍛造アルミニウムピストン、オイルジェット付きピストンクーリングシステム、鍛造コネクティングロッド、タフトライド処理鍛造クランクシャフト、レアメタルベアリング、ステンレス鋼製エキゾーストシステム、空冷式オイルクーラーを標準装備するなど特記すべき点が多々あり、当時の同一排気量車では最高出力であった。
- 内径×行程:80mm×79mm
- 排気量:1,588cc[1]
- 出力:180PS/6,600rpm トルク:21.2kgm/4,800rpm (JT191S ジェミニ)、出力:165hp/6,600rpm[1] トルク:20.4kgm/4,200rpm[1](二代目ロータス・エランSE)
- プレミアムガソリン仕様
レース歴
1991年の発表と同時にレースに参加し国内での輝かしい成績を納めた。
- イベント名 日程 成績
- DCCSウインターラリー 2月2日~2月3日 優勝
- ウインターラリーイン旭川'91 2月23日~2月24日 5位、6位
- '91ACKSPRINGラリー 4月20日~4月21日 2位、3位
- ツールド朗国 5月18日~5月19日 優勝、2位、3位
- '91広島カップラリースピリット 6月1日~6月2日 優勝
- '91ノースアタックラリー 7月6日~7月7日 優勝、2位、4位
- ひえつき'91夏 7月27日~7月28日 6位
- モントレー'91 9月15日~9月16日 4位
- 関西ラリー 10月12日~10月13日 3位、6位
- 1991年 N1耐久・ラウンドシリーズ(2クラス)
- イベント名 日程 成績
- ハイランド300kmレース 4月28日~4月29日 優勝、4位
- 富士ツーリングカー6時間レース 6月1日~6月2日 2位、3位、6位
- 筑波ナイター9時間耐久レース 8月10日~8月12日 2位、3位、5位
- ベストドライバーズNl耐久レース 9月21日~9月22日 優勝、3位
- SUGO N1 500kmレース 11月22日~11月23日 優勝
搭載車種
出典
- ^ a b c d e f 『ワールド・カー・ガイド8ロータス』p.95。
参考文献